６２歳にして孫が５人！！「昔は子どもたち、今は孫たちにもみくちゃにされてます、ハハハ」

●石橋正次さん

　石橋正次さんは７０年代を彩った青春スターといっていいだろう。俳優としては映画「あしたのジョー」、青春ドラマ「飛び出せ！青春」、また、歌手では「夜明けの停車場」「鉄橋をわたると涙がはじまる」などのヒットが懐かしい。しかし、最近は姿を見る機会が減った。さて、今どうしているのか。

「ボクはオフでしてね。だから、ステージに立ちませんが、芸能界デビューを目指してる末っ子の恵有が歌うもんで、応援を兼ねて様子を見に来ました。ホント、親バカですいません、ハハハ」

　歌謡イベントが催された中野サンプラザの楽屋で会った石橋さん、こういって頭をかいた。出番を終えた恵有クン（２２）も一緒だ。

「恵有が歌ったのはボクの持ち歌の『千住大橋』。昔、『俺たちの旅』（７５年）って青春ドラマがあったでしょ。その挿入歌で、年齢的にピッタリかなと思って選曲しました。ただ、ボクの歌は感情の流れに任せて歌う、八方破れなところがあったけど、彼はいたって優等生な感じ。いささかそこが物足りないな」

　石橋さんは５男１女の子だくさんで知られる。

「子育て？　そりゃあすさまじかったですよ。風呂に入って順番に洗ってるとのぼせてダウンしちゃう。洗濯物はいつも満艦飾、弁当を作って持たせる朝はまさに戦争でした。すべての世話をした女房には感謝感謝です」　すでに３人が独立した。

「家にいるのは俳優をやってる次男の正高（３１）に小学校の先生をしてる四男、それにこの恵有です。孫も５人いるんですよ。昔は子どもたち、今は孫たちにもみくちゃにされてます、ハハハ」

　次男の正高クンといえば、４年前、小柳ルミ子との熱愛報道があった。

「親としてはビックリしたり、ちょっと焦ったり……ってところでしょうか。でも、もう終わったこと。その件についてはそのくらいで」

●芸能界デビューを目指す末っ子の歌謡ショーに付き添う

　さて、新国劇出身の石橋さんは７０年に俳優デビュー。出演２作目の映画「あしたのジョー」で主役の矢吹丈に抜擢されて脚光を浴び、７２年にはレコード「夜明けの停車場」が大ヒットし、青春スターの座を不動のものにした。

「まだ新国劇の研究生だったボクが思いもよらず売れっ子になったのは、辰巳柳太郎先生に“４０になったら戻ってこい”と背中を押されたおかげです。映画、ドラマ、歌と体当たりで挑むことができましたから。ところが、その新国劇はボクが４０になる前に解散してしまった。まったくもって残念でなりません」

　７３年の「飛び出せ！青春」で演じたやんちゃな生徒役が懐かしい石橋さん、その後も現代劇から時代劇まで幅広く活動してきた。

「今はもっぱら舞台です。オフのときはその準備に忙しくて。それっていうのも、最近はトシのせいか、セリフを覚えるのが大変なんですよ、ハハハ。でも、ボクには新国劇で培った“新国劇魂”がある。これからもそれに恥じぬよう、いろんな舞台にチャレンジしていきます」

　２月４日から池袋サンシャイン劇場での「シラノ・ド・ベルジュラック」が控えている。

（日刊ゲンダイ2011年1月31日掲載）