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【芸能・社会】

竹野内豊 慰霊の旅完走 主演映画「太平洋の奇跡−」で

2011年2月3日 紙面から

背後の山が映画の舞台、タッポーチョ山

写真

 俳優竹野内豊(40)主演の戦争映画「太平洋の奇跡 フォックスと呼ばれた男」(11日公開)の完成にちなみ、総移動距離1万5000キロメートルに及んだ“太平洋戦争を伝えるキャンペーン”が、このほど映画の舞台となったサイパン島でゴールを迎えた。長期にわたる“慰霊の旅”を完走した竹野内は「1人でも多くの人にこの映画をみてもらい、これまで知られていなかったサイパン戦の歴史を知ってほしい」と力を込めた。

 昨年12月に沖縄からスタートしたキャンペーンは、東京や名古屋など国内9カ所をめぐり、全国から1万1000羽に及ぶ折り鶴が集まった。竹野内と共演の山田孝之(27)、平山秀幸監督(60)の3人は先月31日にサイパン島北部にある慰霊碑「中部太平洋戦没者の碑」を訪れ、たくさんの思いが込められた折り鶴をささげて静かに手を合わせた。

 さらに3人は、日本政府が建てた碑の裏側に遺族らが建てた多数の私設慰霊碑の前でも手を合わせた。撮影開始前の昨年4月にも同所を訪れ、20分以上もその場で祈り続けたという竹野内は「今の平和は当時の苦しい体験の上に成り立っている。日本人なら必ず行って、線香1本でいいから手を合わせてほしい」と率直な思いも口にした。

 当初は戦争映画への出演にためらいもあったという竹野内。だが、キャンペーン先で戦争体験者らの話を聞き、サイパンでもバンザイクリフや極楽谷など当時の痛ましい記憶が残る戦跡を巡り歩いて気持ちも大きく揺れ動いたようだ。

 「戦争の傷あとが今でも存在していることをあらためて感じた。この映画にかかわることがなかったら一生知らなかったことばかり。戦争という言葉一つだけで、戦争を理解した気になってはいけない」と自戒を込めながら話した竹野内。山田も「どこへ行っても悲惨でした。(極楽谷は)こんなに月日がたっていると思えないぐらい遺品が生々しく残っていて。この映画が、すべての人が戦争をなくそうという気持ちになるきっかけになれば幸いです」と冷静に言葉をつないだ。

 こうした真摯(しんし)な思いは映画を通じてサイパンの人々にも伝わった。慰霊碑訪問の後、同島のハリウッドシアターで行われたサイパンプレミア試写会。上映終了後には、会場を埋めた観客から大きな拍手がわき起こった。

 サイパン戦に従軍した元米海軍のマーヴィン・アヴィラさん(85)は「今までの戦争映画は表現が過剰すぎたが、この映画はバランスがとれている。難しい戦争映画をここまでよく作り上げた」と絶賛。民間人としてサイパン戦を経験したエスコ・カブレラさん(80)も「一番覚えているタッポーチョ山のシーンは似ていたね」と当時を思い出していた。映画は大戦末期のサイパン島で、4万5000人の米軍を相手にわずか47人の兵力で戦い、最後まで生き抜いた大場栄大尉の実話を基に描いた作品。竹野内は「日本人の誇りを体感してほしい。現代の人々にとっても大切なメッセージがたくさん込められているので、映画をみた人がそれぞれの感想を誰かに伝えてほしい」と訴えた。 (関龍市朗)

 

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