事件【主張】大相撲八百長 春場所返上で徹底究明を2011.2.4 03:33

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【主張】
大相撲八百長 春場所返上で徹底究明を

2011.2.4 03:33

 土俵上の信義を失わせる大相撲の八百長問題が角界の根幹を揺るがしている。日本相撲協会の放駒理事長も「存亡の危機」との認識を示した。それならば3月13日が初日の春場所を返上して、徹底究明の期間に充てるべきだ。

 八百長を疑う目で、誰が土俵上の取組を真剣に見るか。春場所の前売りチケットの予約は6日に始まる。決断のための時間的猶予はない。

 野球賭博事件で警視庁が押収した現役力士の携帯電話から、消去されたメールを復元して八百長をめぐるやり取りはみつかった。

 「最終的にはすくい投げあたりがベストだと思いますよ~」といった取り口の指示はあまりに軽い。「二つ貸したから一つ返してもらうよ」のメールからは、八百長の常態化がうかがい知れる。すでに複数の力士が協会の聴取に八百長を認めており、もはや疑惑の段階ではない。

 八百長そのものを取り締まる法令はない。相撲が賭博の対象にならないことが前提だからだ。それでも警視庁、警察庁は「公益法人たる相撲協会の事業に関する公益性が高い事項」として文部科学省に情報を提供した。この判断は当然だ。文科省は調査を相撲協会に丸投げすることなく、厳しく監督しなければならない。

 角界はこれまで、数々の証言に基づく疑惑について「八百長は存在しない」と全否定を繰り返してきた。一方で、「公認相撲規則」には「故意による無気力相撲懲罰規定」があり、最も厳しい懲罰は「除名」となっている。

 放駒理事長は今回初めて、八百長と無気力相撲は「イコールだと思っている」と認めた。一つの前進ではあるが、「過去には一切なかった」とも断言した。きちんとした調査をしたのか。今となっては、誰も信用しない。

 究明を依頼された特別調査委員会の伊藤滋座長は「メール以外に物証はなく大変難しい」と話し、公益財団法人認定を目指す「ガバナンス(統治)の整備に関する独立委員会」の奥島孝康座長は「想定内の出来事」と語った。危機感が全く感じられない。

 全力士や過去にさかのぼる徹底調査の結果に説得力がなければ、もはや土俵は見向きもされない。白鵬の63連勝も泣いている。相撲を愛する人は多いのだ。必ず立ち直らなくてはならない。

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