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プロジェクトのニュースをはじめ、日本全国のメンバー団体の最新活動ニュースやイベント情報を随時お伝えします。あなたのお近くの国際協力のニュースをチェックして、「なんとかしなきゃ!」の活動へ是非ご参加ください。
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イラクを訪れたメンバー。右から高宮信一さん、笑福亭鶴笑さん、西谷文和さん、阪野登さん 活動報告をするメンバー。「イラクといっても梅田かなんばに行くのと変わらないですよ」 即興イラストを披露する高宮さん。夢のある絵が子どもたちに喜ばれた 紙切り芸を披露する笑福亭鶴笑さん。英語混じりの巧みな話術で客を笑わせる
 よしもとの芸人さんが、イラクでボランティア活動?いったいどんな報告が聞けるのか、わくわくしながら品川よしもとプリンスシアターの中に入ると、見覚えのある「未来を、耕せ。」のポスターが入口の壁に貼られていました。

 「笑いで国際貢献」を合言葉に、落語家の笑福亭鶴笑さんがNPO法人「国境なき芸能団」を設立したのは2006年。これまでにもドミニカ共和国やブラジル、カンボジアなど世界31カ国で公演を行い、笑いを届けてきました。

厳選されたメンバーで、いざイラクへ!

 今回、国境なき芸能団が選んだ行き先はイラク。「なんでそんなとこ行くん、やめときー」と周囲からは止められたそうですが、現地に詳しいNGO団体「イラクの子どもを救う会」代表の西谷文和さんが調整役となり、漫画家の高宮信一さん、手品師の阪野登さんをメンバーに加えて昨年11月30日~12月7日、イラク訪問を敢行しました。

 報告会のステージに揃った4人は、関西弁で笑いを交えながらイラクでの活動の様子を語ります。現地で撮影されたVTRを見なければ、本当にイラクへ行ってきた人とは思えないほどさりげなく、気負いのない語り口が印象的でした。

地元テレビ局も注目!スンニ派の避難民キャンプで公演

 イラク北部のスレイマニアという町に到着した一行は、まず国内避難民のキャンプを訪れます。初めは大人たちに警戒されますが、話し合いを重ねて信頼関係を築き、ようやく公演を開催することができました。

 「人を怒らせるのは簡単。笑ってもらうのが一番難しい。人を笑わせるには、まず安心させなければいけないから」と笑福亭鶴笑さん。キャンプの人々が話すアラビア語を使って、全身全霊でパペット落語を披露します。「自分たちの芸を見て笑ってもらって、なんか面白いことしてまた生きて行こうかと、そんな気持ちになってもらえたら」。

手品を披露した阪野さんは、「イラクの子どもは目力が違う。吸収力がものすごくて、公演が終わるとへとへとになった」と振り返りました。

 彼らを密着取材した地元のクルディスタンTV局では、3晩連続で活動の様子が報じられました。「イラク国内でも忘れられつつある国内避難民の問題。私たちが訪れたことで、少しは光が当たるかな」。

日本人だからこそ届けられる、平和の笑い

 会場からの質問コーナーで、「ギャラはどうなってるんですか?」との問いに、「一切ないですよ。まぁ海外旅行に行かせてもらったようなもんですし。行き先がちょっと大変でしたけど」と高宮さん。国境なき芸能団が街頭募金で集めた約300万円のお金は、すべて現地で寄贈した支援物資の購入に充てられたそうです。支援物資の内容は現地の人々の要望を直接聞いてから決定し、現地で毛布や医療品を調達しました。ちなみに、大阪での街頭募金に一番協力してくれたのは高校生だったのだそうです。

 VTRを見ながら、現地で出会った子どもたちが今頃どうしているか気がかりになり、また会いに行きたいと話す鶴笑さん。「活動を続けながら、笑いに国境はないということを実感します。中でも、日本の落語は平和的な笑いを届けられる。相手を攻撃する笑いではないので、子供からお年寄りまで安心して楽しめるんです。これからも、国境なき芸能団は世界が舞台です!」