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受賞者ら喜びのスピーチ 第11回手塚治虫文化賞贈呈式

2007年06月07日10時54分

 東京・丸の内の東京会館で6日夜に開かれた第11回手塚治虫文化賞(朝日新聞社主催)の贈呈式は、受賞の喜びや、これからのマンガ制作への思いを明かす受賞者らのスピーチで沸き返った。

写真短編賞を受賞した森下裕美さん=6日、東京・丸の内の東京会館で

 日本人の少女を主人公に、筋肉の繊細な動きをとらえながらバレエの美しさや厳しさなど様々な側面を重層的に描き出した「舞姫 テレプシコーラ」でマンガ大賞を受賞した山岸凉子さんは、「世界にマンガが広がったのは手塚先生がいらっしゃったから。受賞は誇りで、うれしいことです」と喜びを語った。

 「テレプシコーラ」は現在、第1部で終わっており、主人公の成長と同時に起こった悲劇の後の第2部を、多くのファンが心待ちにしている。「第2部は(マンガを描く)厳しさを、おもしろさと驚きに変えたい」と、続編への決意も述べた。

 大西巨人さんの戦後を代表する重厚な小説「神聖喜劇」を10年間かけてマンガ化し、新生賞を受賞した作画ののぞゑのぶひささんと企画・脚色の岩田和博さんは、ふたりそろって登壇。

 「巨人さんの言いたかったことが長く受け継がれていってほしい」と、のぞゑさんは笑顔で話し、岩田さんは「賞をいただいたのは、危うい時代へのある種の警鐘という気がする。ぜひ、みなさん、作品を読んでください」とあいさつした。

 大阪の下町を舞台に、笑わせて泣かせる表情豊かな人情マンガ「大阪ハムレット」で短編賞を受賞した森下裕美さんは「いなかの近所のおばさんがくれた手紙に、マンガの王様手塚治虫さんと書いてあった。王様ではなくて神様。わたしはマンガ家になるしかない人生だったと思う」と、しみじみと振り返った。

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