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大相撲:力士が八百長メール 十両数人、星を売買 野球賭博・警視庁押収の携帯に記録

 ◇数十万円、頻繁に

 大相撲の現役十両力士数人が勝ち星を数十万円で売買する八百長を頻繁に行っていたとみられるメールの記録が、警視庁が野球賭博事件に関連して押収した力士らの携帯電話に残っていたことが捜査関係者への取材で分かった。日本相撲協会はこれまで、裁判などで八百長の存在を一貫して否定していた。野球賭博事件に続き、角界が再度深刻な打撃を受けることは避けられない情勢となった。

 警視庁は今後、警察庁を通じて日本相撲協会を所管する文部科学省に、メールの内容や力士名など捜査で得た情報を伝える方針で、協会側は厳正な調査や処分を迫られそうだ。

 捜査関係者によると、警視庁が阿武松(おうのまつ)部屋の元幕下力士、山本俊作容疑者(35)=06年5月引退=ら4人を逮捕した野球賭博事件の捜査の過程で八百長疑惑が発覚した。警視庁は昨年7月、賭博開張図利容疑で同部屋など三十数カ所を家宅捜索し、力士らの携帯電話などを押収していた。

 八百長をしていた形跡が残されていたのは数人の十両力士の携帯電話。勝ち星を金で売買していることを示す文面がメールに残っていたという。これまでの捜査では、暴力団関係者の関与は浮かんでおらず、八百長の取組自体は外部の賭けの対象にはなっていなかった模様で、刑事事件として立件される可能性は低いとみられる。

 野球賭博事件では、阿武松部屋を中心に計約40人の力士や後援会関係者らが複数のルートで、プロ野球公式戦や09年のワールド・ベースボール・クラシック(WBC)、高校野球などを対象に1口1万円で賭博をしていたことが明らかになっている。賭博の対象は他競技にも広がっていたとされる。

 ◇疑惑、何度も

 大相撲の八百長を巡っては、元小結・板井の板井圭介氏が00年に日本外国特派員協会で行った講演で「(元横綱で当時関脇の)曙に40万円で僕の方から星を売りにいった。故意に負けた」と発言し、八百長の存在を主張した。これに対し、日本相撲協会は板井氏に抗議文を送った。

 また、07年に「週刊現代」で「力士間で八百長の合意や金銭授受があり、協会が放置、黙認していた」と八百長疑惑が報じられた。当時の横綱・朝青龍関ら力士30人と協会は記事で名誉を傷付けられたとして、発行元の講談社や筆者に計約6億1600万円の賠償などを求めて東京地裁に提訴。1審は原告勝訴。2審の東京高裁も「真実と認めるに足る証拠はない」として、計3960万円の賠償を命じた。最高裁は講談社側の上告を棄却し、高裁判決が確定した。

 さらに07年の「週刊現代」では、当時の宮城野親方(元十両・金親、現熊ケ谷親方)が06年名古屋場所で白鵬関が朝青龍関に勝った取組は八百長だと知人女性に告白したと報じられた。親方は協会の聴取に発言を否定したものの降格処分を受けた。この記事を巡る損害賠償訴訟も協会勝訴が確定している。

毎日新聞 2011年2月2日 東京朝刊

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