UAE向け原発輸出、巨額融資非公表に批判(上)

 韓国が2009年12月に受注したアラブ首長国連邦(UAE)での原子力発電所建設事業に対し、韓国政府が100億ドル(約8100億円)を28年間にわたり同国に融資する方向で準備を進めている。UAEに建設される原発4基の総工費186億ドル(約1兆5100億円)の半分以上を韓国が支援する格好だ。

 韓国政府は「日本、フランスなども原発輸出に際し、金融支援を行っている。輸出国による金融支援は一般的な慣行だ」との立場だ。しかし、韓国政府は受注当時、金融支援に関する合意内容を公表しなかったので、受注成功という功績だけを誇示するため、あえて公表を控えたのではないかという批判を受けている。

2009年12月27日、李明博(イ・ミョンバク)大統領とアラブ首長国連邦(UAE)のハリファ大統領が見守る中、金双秀(キム・サンス)韓国電力公社社長とUAE原子力公社のムバラク会長が原子力発電事業に関する契約書に署名した。

金融支援をなぜ隠したか

 論点は三つある。第一に、受注当時「UAEが事業費全額を負担する」という韓国政府の発表とは異なり、韓国が金融支援を行う内容の裏契約が存在したかだ。第二に、韓国よりも国家格付けが高いUAEに低金利で融資を行えば損失が生じるとの指摘だ。第三に、当初昨年末に予定されていた原発の起工式がなぜ延期されているかという疑問もある。

 問題は韓国政府が受注後、韓国がUAEに金融支援を行うことを公表していなかった点だ。

 知識経済部(省に相当)の金正寛(キム・ジョングァン)エネルギー支援室長は「入札当時、UAEは全ての参加者に金融支援を要求したため、輸出入銀行を通じた100億ドルの支援を準備しているが、融資条件などは契約当事者による秘密に当たるため公表しなかった」と説明した。

 契約締結を指揮したチェ・ギョンファン前知識経済部長官は「日本やフランスなど競争国も、自国の金融機関を通じた資金支援を行っている。裏契約(という指摘)は話にならない」と反論した。

 原発のような大規模事業を推進する際、受注国の金融機関が資金支援を行うのは一般的だというのが韓国政府の主張だ。最近、トルコでの原発受注競争に参入した日本も多額の金融支援を契約条件に掲げている。フランスもヨルダンの原発受注に向けた金融支援を計画している。

 しかし、国策銀行を通じ、100億ドルという巨額の金融支援を行うことを公表しなかったのは大問題だ。仮に融資が焦げ付いた場合、国民の税金で穴埋めしなければならないからだ。

 国策シンクタンク関係者は「最低限、韓国が負担すべき部分があるという点を公表してしかるべきだ。政府の業績を誇張するために意図的に隠したようだ」と指摘した。

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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