JR九州(福岡市)は2日、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業する3月12日から、新幹線車内の多目的室を医療搬送に使う「ドクタートレイン」を導入することを明らかにした。時間短縮効果を活用し、県境を越えた広域医療の充実に役立てる。
座席を引き出して、患者搬送に使うN700系の多目的室
鹿児島ルートを走る800系、新800系、N700系各1編成ごとに多目的室(約2~3平方メートル)1室を整備した。
通常は授乳や休憩に利用。医師や看護師の同行を条件に、患者搬送に応じる。ストレッチャー(車輪付き簡易ベッド)や酸素ボンベなど医療機器の持ち込みは認めるが、隔離が必要な感染症などの際は利用できない。
原則2日前までに最寄りの駅に申し込む。ただ「可能な限り前日や当日にも受け入れたい」とJR九州。料金は通常の新幹線料金と同じ。
同社の石原進会長は「中山間地や離島を対象にしたドクターヘリに新幹線が加われば、広範囲で幼児を含む救急医療に大きな役割を果たせる」と話す。
新幹線での患者搬送を要望していた熊本県医師会の福田稠[しげる]会長は「県内の患者が九州各地の先端医療を受けやすくなる。医療機関に周知を徹底したい」と歓迎している。(井上直樹)
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