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グリーンビジネス

スターバックスの紙コップ利用を減らすためのアイデアコンペに優勝したのはコップのデザインではなく、“行動”をデザインするものだった!!

石村 研二 2011/02/01

greenz/グリーンズ Karma Cup

スターバックスもパートナーとなったコーヒーカップの廃棄量を減らすためのアイデアコンペ「Betacup」が行われたことについてはgreenzでもお伝えしました。このコンテストの結果が発表されたのですが、その結果選ばれた「Karma Cup」はなんとコーヒーカップではなかったのです!しかも他のアイデアとは一線を画すエモーショナルな仕掛けがなされていました…

このKarma Cupのコンセプトを示すイメージ画に書かれた言葉がまず印象的です。

A shared problem. A shared reward.(問題を分かち合い、報酬も分かち合おう)

このKarma Cupのコンセプトを要約すると、店頭に黒板を置き、マイカップを使った人がいたら、チェックをしてゆき、その数が10人、20人となったら、その「キリ番」の人は飲み物が無料になるというものです。

マイカップを使うことでポイントがたまり、飲み物が無料になるというアイデアはすでにあるし、このコンテストでもいろいろな工夫を凝らされて提案されました。このKarma Cupがそれらよりも優れているのは、そのポイントというインセンティブが個人に対するものではなく、マイカップを使う人たち全体に対して積み重なって行くという点ではないでしょうか。

本来ならインセンティブは個人に蓄積されていったほうが公平な気がします。このシステムだと、初めてその店に来て飲み物を買った人が無料のタイミングに当たるなんてこともあるでしょう。しかし、それを是とするのがこのアイデアのポイントだと思うのです。

例えばこんな感じでカウントします。

例えばこんな感じでカウントします。

これを是とするということは、このシステムに参加する動機が「自分が得するから」ではなく、「問題を解決するため」であるということを意味するのではないでしょうか。「ポイントが貯まるからマイカップを使う」のではなく、「資源を無駄にしたくないからマイカップを使うけど、無料のタイミングに当たったらラッキー」という発想がそこに感じられます。しかも、ポイントを貯めなくても無料になる可能性があるわけですから、初めて入った店、滅多に来ない店でもマイカップを使ってみようというモチベーションを高める要因にもなります。

さらに、このKarma Cupのシステムのほうが「いいことをしている」気分になるように思えます。それはなぜかと考えてみると、ここにはソーシャルの要素が入ってきているから。個人ではなくみんなで何かをすると、そこに何か連帯感のようなものが生まれる。実際にそれに参加した人たちが顔をあわせたりするわけではないのだけれど、一緒に何かをしているという感覚はそれが「いいことである」という感覚を強くします。

karma_cup_2

みんな持ってるのはマイカップ!

もしかしたら、これをさらに発展させて、店ごとに競争をさせてみたりしたらいいのではないでしょうか?そうすると「自分の行きつけの店」のなかで連帯感が強くなってモチベーションも上がる気がしませんか?あなたがいつも行っているスターバックスが日本で一番マイカップの使用量が多かったら、誇らしいと思いませんか?

考えれば考えるほどよくできたシステムだと思えますが、このアイデアが具体化されるという計画はまだないとのこと。せっかくコンペまでやったんだから、ぜひぜひやってほしい!そのときは店ごとで競争させるという方式も検討していただきたい!

(via Fast Company

まずはマイカップ、マイボトルから

石村 研二

石村研二(Kenji Ishimura)。東京生まれ。大学の法学部を卒業するも、法律に向いていないことに気づき、長いモラトリアム期間を過ごしながらひたすら映画を観る。 2000年にサイト「日々是映画」を立ち上げ、書くことを仕事にすべく駄文を積み重ねる。ウェブサイトのデザイン、情報処理試験の参考書の執筆、テニススクールの運営などをしつつ、ライター業でも奮闘中。暇なときはSFを読んで未来への希望を見出そうとし、世界は5次元だと信じている。

日々是映画-ヒビコレエイガ

http://www.cinema-today.net/

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  • ボードをクラウドに置けば世界中に拡大できそう、マクドナルドとかだったら、1億円が100万人に一人とか、
  • フリーコンサルタント
    この案の注目すべきは消費者がマイカップを使用するインセンティブにあると思います。紙コップの使用量を減らすことが環境問題の改善に寄与するからマイカップを使ってもらうようにする、そのインセンティブが金銭的なものであれば環境問題の改善という目的を忘れてしまう可能性があります。
     よって、一体感を持たせ社会貢献をしているという意識を持たせるこの制度は、ブラックボードを見るたびに目的を思い起こすのでマイカップを持ってくるインセンティブになるのです。そこがこの制度の中核であり、無料などはおまけでしかないので
    金銭的インセンティブとは質の違うものなので評価できると思います。
  • 通りすがりの広告マン
    おもしろいですね。ただ、順番調整しちゃう人もやはりいるだろうし、他の方もコメントしているように
    現金な東南アジアや中国などの国では、ぶっちゃけタンブラー使用者の促進にはあまりならないかと・・・。
    それより現実的なアイデアとして、そのお店の毎月合計タンブラー使用者を表記して、
    "○○人以上だと20円引き、△△人~○○人だと10円引き"とかにした方が、
    タンブラー使用者もお店のリピーターも増えて良いのでは・・・。
    (ちゃんとコップのコストと値引きのバランスを取って運営し、"○○人"などの人数設定は
     お店によって来客状況が異なるのでそれぞれで設定すれば良いかと。)
    これであれば、東南アジアの国のような現金な人たちも積極的にむしろ喰いついてくるかと思いますし、ソーシャルネットワークでも「あのお店を安くさせよう」と話題になるのでは。
    やはり、個人にしてもソーシャルな連帯グループにしても、彼らに確実なメリットがないと
    本格的なタンブラー使用者の促進にはならないだろうし、各国で実施可能なものにはならないかと。
  • 10
    これは、何ら考えることなく見ず知らずの誰かのために硬貨や紙幣を投じる(喜捨・寄附)文化がある社会に限って適するものだと思う。イスラーム圏、キリスト教圏ではうまくいきそうだが東アジアでは無理ではないか。東アジア向けにはいっそ逆転させて10人に1人負担金を課すことにすれば・・・とも考えたが、そんな話が出た時点でバッシングの嵐に遭うのは確定的に明らか。
  • 重箱
    すばらしいアイディア。ただ記事タイトル中のダブルクォーテーションが両方閉じる側になってるのが非常に気になります。重箱の隅ですが。
  • ゲスト
    すばらしいアイディア。ただ記事タイトル中のダブルクォーテーションが両方閉じる側になってるのが非常に気になります。重箱の隅ですが。
  • Mf_hi
    すばらしいアイディア。それとは別に記事タイトルのダブルクォーテーションの間違いが気になります。
  • スタバだいすき
    私もタンブラーで飲もうd( ̄  ̄)
  • とおりすがり
    これ優勝してます?winnerでランキング表示させても5位に入ってないんですけど・・・それともここに表示されてる人みんな入賞ってことですか?
  • トップページに載ってますが、Juryとあるから審査員賞の優勝アイデアということのようです。Rulesにあるように、一般投票はコミュニティ賞。
  • 無料のタイミングを狙った場所取り合戦が繰り広げられる
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