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法廷に持ち込まれた「人体の不思議展」

2011年1月28日科学・環境

 全国で巡回してきた「人体の不思議展」に対し、「違法な遺体の展示で精神的な苦痛を受けた」と主催者に1万円の慰謝料を求める民事訴訟が京都地裁に起こされた。遺体をホルマリンに漬けずに樹脂を利用して「人体標本」をつくり、一般公開するのが「人体の不思議展」だ。この手法で作られた人体標本が日本で初めて公開されたのは、1995年に国立科学博物館で開かれた日本解剖学会100周年記念「人体の世界」展だった。このときとは別の主催組織が「人体の不思議展」を始めたのは2002年。やがて、この展覧会に対する疑問や批判の声があがるようになった。どういう経緯だったのか?果たしてこの展覧会は違法なのか?新しい科学技術と法律のかかわりを、そもそも法とは何かという原点に立ち戻って考えてみる。※写真は2010年に熊本県立美術館で開かれた「人体の不思議展」

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中村多美子

科学技術を法の文脈でとらえる難しさ--「人体の不思議展」裁判は新時代を開くか

中村多美子
 京都で開催されている「人体の不思議展」の展示標本について、厚生労働省が法律上の「死体」にあたると回答したことを受け、京都府警が捜査に乗り出した。さらに、2011年1月20日、京都市の大学教授が、自宅近くで大量の「死体」が展示されたことについて慰謝料を求める裁判を京都地裁に提訴したと報道されている。 人体の不思議展とは、献体された人体に樹脂を染み込ませるなどした「プラストミック」と呼ばれる処理方法で保存した人体標本らしい。日本で何度も開催されてきた展覧会が、今、なぜ刑事捜査の対象となり、損害賠償・・・続きを読む
高橋真理子

「人体の不思議展」への疑問と批判−法廷までの道筋

高橋真理子
 遺体の水分や脂肪分を合成樹脂に置き換え、全身標本や一部の標本にして有料で見せるのが「人体の不思議展」だ。直近では、京都市の「みやこめっせ」で2010年12月4日から11年1月23日まで開かれた。主催者のホームページによると、02年の大阪展以来、全国35会場を巡回し、650万人が来場したという。一方で、06年の仙台展開催中に発足した「『人体の不思議展』に疑問を持つ会」(代表=刈田啓史郎・元東北大教授)が公開質問状の送付といった活動を繰り広げてきた。質問状を受け取って後援をやめる団体も続出。11年・・・続きを読む

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c45accte (GEVO) #webronza20110128 それでも入場者は少なくならない。。。

webronza (webronza) 新しい科学技術と法の文脈との関係は簡単ではない、と中村多美子さん。高橋記者によれば中国の標本を用い始めた03年以降、議論が広がりました。全2本。→法廷に持ち込まれた「人体の不思議展」 http://t.asahi.com/17gp (タグ #webronza20110128