22年W杯:2強のはざまで埋没 日本の敗因は

2010年12月3日 17時55分 更新:12月3日 18時23分

2022年サッカーW杯開催地を決める投票で落選し天を仰ぐ大阪市の平松邦夫市長(左)と日本サッカー協会の鬼武健二名誉副会長=大阪市役所で2010年12月3日午前0時45分、宮間俊樹撮影
2022年サッカーW杯開催地を決める投票で落選し天を仰ぐ大阪市の平松邦夫市長(左)と日本サッカー協会の鬼武健二名誉副会長=大阪市役所で2010年12月3日午前0時45分、宮間俊樹撮影

 サッカーの22年W杯大会はオーストラリア、日本、韓国の順で脱落した。最終的にはカタールと米国の決選投票になったが、「中東初」「イスラム圏初」という大義名分が、「史上最高の収益」を約束した米国を上回った。結果的に「2強」のはざまで埋没した、日本の敗因をまとめた。【安間徹】

 ◇「まだ早すぎる」

 「イスラム圏初のW杯に、深い意義を感じている」。カタールの招致大使を務める元フランス代表MFのジダン氏が語るように、カタールは「中東初」という大義名分が招致成功を後押しした。票数で日本を上回った韓国も北朝鮮との部分共催を掲げ、最終演説では「W杯開催が地域の平和につながる」と訴えた。一方、韓国と同様に開催間隔の短い日本は「まだ早すぎる」と言われ続け、次世代W杯の提案も大義名分の弱さを打ち消す力強さはなかった。

 ◇「ハード面」の弱さ

 ハード面の弱さも足を引っ張った。02年大会時は最新設備を誇ったスタジアムも、技術の急激な進歩とともに「時代遅れ」に。さらに、日本招致委員会の小倉純二委員長(日本サッカー協会会長)が指摘したのは、陸上トラック併設スタジアムの多さ。「日本は国体開催を意識して造られたところが多い。お客さんが(サッカーを)どう楽しむかというための設備じゃない。造るなら今後は、楽しめるスタジアムにすべきだ」と提言した。

 ◇「独自性」への疑問

 日本は世界400カ所で立体映像を駆使したパブリックビューイングを行う「次世代W杯」を提案していた。小倉委員長は「ホスト国だけでなく、みんなで楽しみましょうというのは、『面白いな』と受け止められた」と分析したが、最終演説で日本を応援したソニーのストリンガー会長兼社長も「アイデアはすぐにまねられ、追いかけられる可能性がある」と認めるように、常に模倣の危険と隣り合わせ。日本でなければ実現しない提案とは受け止められなかった。

 ◇「魑魅魍魎の世界」

 開催国決定を間近に控え、FIFA理事の金銭スキャンダルが英メディアによって次々に暴かれた。そのことが一部理事の反発を招き、「内容的に欠けているものは何もない」(小倉委員長)と高く評価されていたイングランドが1回目の投票でわずか2票しか獲得できずに敗れた。理事の心証を害していたのは一目瞭然で、ある関係者は「魑魅魍魎(ちみもうりょう)の世界」と表現する。22年大会も身内に唯一理事がいないオーストラリアが早々と敗れたことが示すように、投票は政治力も重要な要素となる。正攻法で臨む日本はクリーンな戦いが評価されることを願っていたが、票には結びつかなかった。

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