2010年12月3日 10時53分 更新:12月3日 11時39分
政府は3日、国民一人一人に番号を割り振る「共通番号制度」に関する実務検討会を開き、番号を導入した際の活用範囲を、税務と社会保障の給付・サービスとする方針を正式に決めた。将来的には、各種申請など行政サービスに広げることも検討する。来年6月に番号制度導入に関する政府の大綱を策定し、秋以降に関連法案を提出。成立してから2年後の利用開始を目指す。
政府は今年6月、番号制度の導入を前提として、番号の活用範囲を、税務のみに使う▽税務と社会保障分野に活用する▽幅広い行政サービスにも利用する--の3案を公表。検討を進めてきた。国民に割り振った共通番号を税と社会保障の両方に活用する仕組みは、米国などで導入されている。
番号制度は、国民の所得を正確に把握でき、公平な税の徴収が徹底できるほか、民主党がマニフェスト(政権公約)で掲げた所得比例年金などの給付にも役立つ。また、将来消費税を増税した際、低所得者の負担感が重くなる「逆進性」の緩和のための新たな給付策を行うことも想定しているとみられる。
ただ、番号制度をめぐってはプライバシー保護の観点から国民の間に抵抗感も強い。個人情報漏れを防ぐためのシステム整備なども含めて、数千億円のコストがかかるとの試算もある。【桐山友一、植田憲尚】