2010年12月3日 9時52分
【モスクワ大前仁】ロシアは政府首脳部が18年のワールドカップ(W杯)開催運動の先頭に立ち、招致に成功した。特に「最高実力者」のプーチン首相は大統領時代にも、14年冬季五輪を南部ソチへ誘致させており、相次ぐ国際大会の開催となる。
プーチン氏は8月にモスクワへ視察に来た国際サッカー連盟(FIFA)の代表団と会談するなど、W杯招致へ意欲を示してきた。2日のFIFA理事会で自国開催が決まると、「ロシアが開催能力を備えていると信頼された。適切な決定に感謝する」と言明。自国代表団を祝福するため、理事会開催地のチューリヒへ向かった。
メドベージェフ大統領もツイッターで「ウラー! 勝利だ」と喜びを爆発させた。大統領と首相はしばしばロシア代表の試合を観戦するなど、サッカー好きで知られている。
ロシアが14~18年までの短期間に、五輪とW杯を相次いで開く背景には「(ソ連崩壊後に一度は失いかけた)一流国の地位をアピールする狙いがある」(政治評論家のムーヒン氏)とみられている。
W杯では西部の飛び地カリーニングラードから、中部ウラル地方のエカテリンブルクまでの13都市を会場とする予定。高速道路などインフラ整備が遅れており、W杯開催が交通網や関係施設の整備につながることを期待する声も上がっている。
一方で約3年後に迫ったソチ冬季五輪の準備をめぐり、会場建設の遅れや資金不足が生じており、同時進行でW杯開催へ取り組むことに対する懸念も出ている。クドリン副首相兼財務相は2日「会場予定地への支援を計画しているし、(ソチ五輪と比べて)負担は大きくない」と反論した。