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コースター転落死:口頭引き継ぎ途絶える 安全バー確認

事故があった東京ドームシティの遊具の現場検証をする警視庁の捜査員ら=東京都文京区で、西本勝撮影
事故があった東京ドームシティの遊具の現場検証をする警視庁の捜査員ら=東京都文京区で、西本勝撮影

 「東京ドームシティアトラクションズ」(東京都文京区)での小型コースター転落死事故を巡り、コースター導入当初は遊具係員を指導する社員間で安全バーの固定状況を手で触って確認するよう口頭で引き継がれていたのに、最近になって途絶えていたことが、運営会社関係者への取材で分かった。警視庁捜査1課は業務上過失致死容疑で引き続き経緯を調べている。

 事故では「スピニングコースター舞姫」から羽村市の会社員、倉野内史明さん(34)が転落し死亡。運営会社の「東京ドーム」は事故直後の会見で、乗客が自分で締める安全バーの確認状況について「必ず目視と手で触って確認を行っている。指導もしている」と説明していた。だが、捜査関係者によると、安全バーの確認は日常的に手で触って行われていなかったとみられており、同社の説明と食い違いが出ている。

 同社関係者は毎日新聞の取材に「以前はバーを手で触って確認する作業を口頭で引き継いでいたが、直近は引き継がれず、必要に応じて係員による目視や客への声掛け、手作業によって確認していた」と明らかにした。

 コースター担当の女性アルバイトは、捜査1課の聴取に「毎回必ず手で触るという指導はされていない」と説明。運用マニュアルにも、触って確認する手順は記載されていなかった。

 死亡した倉野内さんは体重が130キロ以上と大柄で、安全バーが確実に固定されず、転落につながったとみられている。これまでも複数の遊具をチェックする女性契約社員が気づいた場合に、アルバイト係員に安全バーの固定状況を手で触って確認するよう注意することがあったという。

 捜査1課は、アルバイトや契約社員など現場スタッフに対する同社の管理体制に問題がなかったか、家宅捜索で押収した資料を基に調べる。【山本太一、内橋寿明、小泉大士】

毎日新聞 2011年2月2日 15時00分

 

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