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一般相対論の方程式で弘大が快挙
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研究成果を説明する山田さん。右は浅田准教授 |
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弘前大学大学院理工学研究科の山田慧生(けい)さん(24)と指導教員の浅田秀樹准教授(42)=理論宇宙物理学=が、アインシュタインらが構築した一般相対性理論(一般相対論)の運動方程式を基に、三つの天体の軌道(位置の時間変化)を瞬時に導き出せる数式を、世界で初めて見つけた。研究成果をまとめた論文2本は2010年11月と今年1月、ノーベル賞級の論文が載る米国物理学会誌「フィジカルレビュー」に掲載された。同研究科が1日、発表した。
浅田准教授によると、任意の三つの天体の軌道を求めるには、ニュートンの万有引力の理論を使う方法が一般的。一般相対論による運動方程式を使えば、より精密な値を求めることができ、観測結果と合うことは知られているが、式の計算が桁違いに難しくなる。天体が二つの場合に限れば、天体の軌道を求める方程式の解が見つかっていた。
研究は、山田さん(同研究科物理科学コース博士前期課程1年)が弘大理工学部4年だった09年秋、卒業研究として始めた。18世紀の数学者オイラーが発見した古典的な計算方法をヒントに、3天体の軌道を求める一般相対論の方程式を簡略化する方法を発見したのは10年1月。その解を計算することにも成功した。
山田さんの数式によって、三つの天体の質量や距離を電卓に打ち込むだけで、それぞれの天体の軌道を算出できるようになった。さらに、このうち二つの天体について、重力が釣り合う「ラグランジュ点」の位置を計算すると、ニュートン理論で算出される位置とのずれが1〜数十メートル程度となることも突き止めた。
2人は山田さんの卒業研究をベースに論文を投稿、掲載されたが、既にドイツの研究者に引用されるなど注目を集めているという。
「権威ある雑誌に掲載され、すごく光栄」と山田さん。浅田准教授は、論文が同誌に立て続けに掲載されたことについて「大変まれで、研究が国際的に高い評価を得た証し。今までにない新しい理論検証が可能になる」と自信を深める。東北大学の二間瀬敏史教授(一般相対性理論)は「新たな切り口で、いわば金鉱を掘り当てた」とたたえている。
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