85歳で病死した女性の遺言書が偽造され遺産が第三者に渡った事件で、有印私文書偽造・同行使容疑で逮捕された無職、岡宗(おかむね)晶子容疑者(75)が指定暴力団山口組系元組員、北村信容疑者(51)らから協力の報酬として約1300万円を受け取っていたことが捜査関係者への取材で分かった。警視庁組織犯罪対策4課は北村容疑者が主導したとみており、役割分担や金の流れを追及している。
女性は07年2月に自宅で病死。身寄りがなく相続人を探していることを官報で公告した後の08年6月、岡宗容疑者が「生前に女性から遺言書を渡された」と名乗り出て約2億円の預金と東京都台東区内の土地を遺産として受け取った。土地は直後に暴力団との関係が指摘される宗教法人に贈与され約4000万円で転売されていた。
捜査関係者によると、遺言書は06年5月5日付で、北村容疑者らが偽造したとみられる。病死した女性の筆跡をまね、「(岡宗容疑者と)96年春ごろから親交があり、姉妹以上の関係だった」「(遺産を渡すと岡宗容疑者に言っても)彼女が辞退するだろうから、遺言書に書き残すことにした」という記述もあった。しかし、実際には女性と岡宗容疑者は面識はなかったという。
組対4課は、岡宗容疑者が受け取った1300万円を女性の知人を装ったことの成功報酬だったとみている。岡宗容疑者を北村容疑者に紹介したタクシー運転手、西浜輝政容疑者(64)ら3人についても調べている。
毎日新聞 2011年2月2日 15時00分