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社説:小沢元代表起訴 まず離党してけじめを

 民主党の小沢一郎元代表が政治資金規正法違反で強制起訴された。刑事責任は今後、法廷で争われるが、この節目で問われるのは政治家としての責任とけじめである。

 小沢元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、東京第5検察審査会が2回目の審査で「起訴すべきだ」と議決したのは昨年9月だ。議決公表後、検察官役の指定弁護士が起訴の準備を進めてきた。

 起訴内容によると、小沢被告は、04年に「陸山会」に手持ち資金4億円を提供しながら、同年分の政治資金収支報告書に記載しなかった。また、「陸山会」はその資金を元に東京都内の土地を同年、約3億5200万円で購入しながら、その支出を05年にずらして記載した。衆院議員の石川知裕被告ら元秘書3人との共謀を認定した。

 注目されるのは、小沢元代表が「陸山会」に提供した4億円未記載を起訴内容に盛り込んだ点である。

 この4億円の原資について、小沢元代表の説明は二転三転した。07年、「政治資金による蓄財」との批判を浴びた当初の会見では政治献金と説明した。その後、金融機関からの借り入れと説明は変化し、最終的には「事務所金庫に保管していた個人資産」となった。裁判では、最終的な説明の信ぴょう性や、変遷の経緯も争点になるとみられる。

 小沢元代表は「有罪の確信があっての起訴でなく、無実は必ず明らかになる」などとコメントした。

 もちろん、刑事裁判は「無罪推定」が大原則だ。自らの主張は法廷の場で十分に尽くしてもらいたい。だが、それとは別に、小沢元代表には、重い政治責任とそれに伴う説明責任があることを改めて指摘したい。

 事件では、現職国会議員を含む元秘書3人が起訴された。会見などでの土地購入資金についての説明が変遷し、疑問はぬぐえなかった。当然、政治家として国会の場を通じ国民に説明すべきである。東京地検特捜部の強制捜査が入って1年が経過した。機会は何度もあった。

 だが、時に国会招致に前向きな姿勢を見せながら、結局、衆院政治倫理審査会への出席も事実上、実現しない見通しになった。無責任な態度と言わざるを得ない。

 この間、国会は混乱し、民主党政権も強い批判を浴びた。国政に多大な影響を与えていることを小沢元代表はどう認識しているのだろうか。最低限離党して、与党と一線を引くのが筋である。

 民主党の責任も大きい。菅直人首相は、小沢元代表の態度を当面見守るという。証人喚問を含めた小沢元代表の国会説明や離党の是非について明確な姿勢を示すべきである。

毎日新聞 2011年2月1日 2時32分

 

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