口蹄疫:全国拡大、流入源は?

 全国を揺さぶった口蹄(こうてい)疫の「震源地」はどこなのか。

 保健当局は「慶尚北道安東市の農業従事者3人のベトナム訪問が、口蹄疫の最も有力な流入経路だ」としているが、当事者たちは「個人に責任を転嫁するのは強引ではないか」との立場を示している。国立獣医化学検疫院は1日、「昨年11月28日に口蹄疫が初めて発生した安東市臥竜面のソヒョン養豚団地を中心にウイルス流入過程を調査した結果、ベトナムを旅行したクォン氏(56)の農場が最初の発生地で、流入源となったと推定される」と発表した。

 理由は、まず同氏一行が韓国に帰国した際、空港で消毒をせず帰宅し、その後安東市を通じて消毒を催促したにもかかわらず、無視したということだ。また検疫院側は、ベトナムで発生したウイルスとクォン氏の農場で発生したウイルスの塩基序列が99%一致する点、一行が帰国した時点(11月7日)と潜伏期間(2‐14日間)を計算すると、初めて口蹄疫が発生した時期と一致する点などを根拠として提示した。

 クォン氏と共にベトナムに出掛けた同市南後面の韓牛(韓国伝統の肉牛)農家では、現在まで口蹄疫が発生しておらず、安東畜産業協同組合長(56、同市西後・北後面など)の農場は、口蹄疫が安東全域に広まった後に感染したことが分かっており、ソヒョン養豚団地内のクォン氏だけが(ベトナムで)感染したとみられる。

 キム・ビョンハン疫学調査課長は「『よりによって1人だけが感染することがあるだろうか』という疑問が浮かんだが、旅行先で食べたもの、接触した人など、それぞれの環境が違うこともあり得る。疫学調査は発生地を起点としてさかのぼって確認するもので、現時点ではクォン氏を感染源とみている」と話した。

 感染源とされたクォン氏一行は「納得がいかない」という立場だ。一行は「空港でうっかり消毒を忘れたことについては認めるが、それほど危険な病気なら、危険地域のベトナムに出掛けた全ての観光客が消毒を受けなくてはならないのでは。政府のおろそかな防疫体系の責任を個人に押し付けるのはあんまりではないか」と話した。

 畜産業協同組合長は「畜産農家対して大変申し訳ないことをしたが、感染拡大を食い止められなかった責任まで個人に押し付けるのは納得がいかない」と話した。

大邱=崔宰熏(チェ・ジェフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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