企業を悩ませる「パワーブロガー」の横暴(下)

「わたしによくしないと大変なことに」

 子供向けイベントを企画しているクォン・ジョンミンさん(35・仮名)も、あるブロガーからひどい目に遭った。イベントに招かれなかったことに腹を立てたパワーブロガーに「会場はほこりだらけだった。絶対に子どもを連れていかない方がよい」というコメントを書かれた。クォンさんは「後で食事を接待し、数十万ウォン相当の観光券を贈ったところ、文章を修正してくれた」と言ってため息をついた。ある食堂経営者は「料理のコメントを書いてもらおうと、パワーブロガーを接待したところ、友人10人を連れてきてパーティーを開かれたこともある」と振り返った。

 化粧品会社の広報チーム長は「本社の訪問記を書くから、米国への往復航空券がほしい。新製品が出たと聞いている。100万ウォン(約7万4000円)相当のセットがほしい」と要求されたと話した。同社では、逆らえば攻撃されるのではないかと恐れ、できるだけ要求を聞き入れているという。

 ブロガーに訂正報道を求めたり、反論する権利は保障されておらず、法的な規制も不十分なため、中小企業は弱い立場に追い込まれやすい。化粧品、食料品業界では「図々しいブロガー」のリストを作成し、情報を共有しているほどだという。

企業側が先にカネ

 企業から先にブロガーに金銭を支払った副作用が生じているとの指摘もある。食品メーカー2社は昨年、競合メーカーの新製品を中傷するため、それぞれ有名ブロガー数十人に10万-20万ウォン(約7400-1万4700円)の金銭を支払い、文章の執筆を依頼していたことが発覚し問題となった。

 あるブロガーは「多くの企業がブロガーに金銭を支払い、商品に関するコメントを依頼している。純粋にコメントしていた人もそれに巻き込まれれば、『文章を売る』ことに慣れてしまう」と指摘した。

 こうした問題が表面化し、米国では2009年から商品コメントの見返りに企業から無料で商品や金銭を受け取った場合には、ブログにそれを明記することとし、それに違反した場合には最高1万1000ドル(約90万円)の罰金を科す規制が設けられた。

ソン・ヘジン記者

カン・スンミ・インターン記者(梨花女子大経営学科4年)

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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