きょうのコラム「時鐘」 2011年2月2日

 あすは節分。季節の変わり目には邪気が忍び寄るそうで、お払いをする。それが豆まき行事になった。永田町からは一足早く「鬼はー外」の声が聞こえてくる

「素人検察審」のぶつける豆など痛くないと、内にしがみつく鬼がいる。離党も辞職もなし。会見でも「無罪判決を勝ち取りたい」と顔をこわばらせ、時に笑みを見せる。「鬼面人を脅す」とは、見せかけの威勢で人を脅すこと。空いばりの悲しさが漂って見えた

民主党が政権を握って以来、日本の政治は節目に入っている。変革期は前時代のウミを出す力が働く。その一方で、革命政権が内部分裂するのも古今東西共通する。小沢元代表強制起訴から見えてくるのは、旧弊の一掃と、権力闘争の二つである

政治とカネは、旧自民党政権以来の問題だ。「鬼はー外」と、一人放り出せばすむ問題ではない。憎しみをこめてぶつけた豆が自分に跳ね返ってくることもある。その覚悟も見せてほしい政界の邪気払いだ

カネで維持される権力から生まれる民主主義の「鬼っ子」は、これで最後にしたい。その思いをこめて豆の礫(つぶて)をまき、政治の春を待つ。