同郷の松尾さんが書かれたネルー値論文(冗談論文)が、なぜか最近になってはてなブックマークで注目され、あちこちで話題になっているようです。私はかなり前からこの論文の存在を知っていたので、なぜ今になって急に注目されるのかよくわかりませんが…。 この論文によると、ネルー値とは、締切までに何日ゆっくり寝られるかという単位で、日本の研究者はネルー値が低いということを指摘しています。(論文の論旨はもっと深いところにあるので詳しく読んでください。) ところで私はネルー値が高い方だと思います。仕事が早いと言われることは多いです。そうなったきっかけはあるのですが、その話はまた別途することにして、ネルー値を高く保つコツについてここで書いてみたいと思います。ただし、一人でやる作業の多い研究者や執筆業タイプの仕事を対象としていますので、大勢で進めるプロジェクト的な業務には必ずしもあてはまらないかもしれません。 コツはただ一つ、逆説的ですが、計画をしないことです。これは驚かれるかもしれませんが、計画している間は実際の仕事は前に進まないのだから、計画は無駄であることは考えればわかることです。計画は間接業務でしかありません。仕事を前に進めるのは直接業務です。 しかし人々は仕事は計画的にやりなさいと教えます。これはなぜでしょうか?計画が必要な理由は主に二つだと思います。一つは、仕事が大型で、複数の人数で長期でやる必要がある場合です。大きな仕事をサブタスクに分け、分担を決め、スケジュールを決める必要がありますからこの場合は計画が必要です。もう一つは、ネルー値が低い場合です。ネルー値が低いと締切に窮々としていますから、直近の締切に間に合わせるには計画を立てなければいけません。そしてその計画をしている間は仕事が進まないのだからますます自分の首を絞めることになります。 さて、ここでは、研究者等が日常的に最も行っている作業である、原稿書き、書類書き、査読、メールの処理、講演や授業の準備、その他雑用を主に考えます。これらの作業は予め断っておかない限り、自分でやらないと必ず誰かに迷惑がかかりますから、必ずやるということを前提にします。 やらないという選択肢がないのだから、私は計画など立てずにどんどんやります。どれからやろうかなどと考えている時間は無駄なので、考えません。(一応最低限、締切は気にしますが)目についたもの、いまやりたいものからやります。どの仕事からやろうかと考えたくなったらそれは考えているのではなく迷ってるのであり、そういう場合は疲れているのだから一服した方がいいでしょう。このような無計画なやり方でも締切が守れるのは、ネルー値が高いからです。つまり、ネルー値を高くすることにより計画する手間を省き、自分の自由時間をより多く確保できるわけです。もし、このやり方でも締切が守れないようでしたら、それは仕事の請け負いすぎです。仕事の請け方を考え直しましょう。 ネルー値論文では、締切までの時間がなくなることによって集中力が上がり、仕事の効率が上がると述べていますが、上記のやり方を実践するには締切が近付かなくても集中力を上げなければいけません。なぜそれができるのかは自分でも説明ができませんが、おそらく計画を省略できることのメリットが身に浸みているからではないか、ととりあえす仮説を立てておきます。学生のときはこれができなかったように思います。 ただし一つ、計画的に考えなければいけないことがあります。それは、「他人に仕事を振るのは最優先で」ということです。原稿の分担執筆指示、査読の割り当て、メールの返信・転送などは最優先で行わなければ、その人に迷惑がかかるばかりでなく、その遅れがまた自分にフィードバックされてきます。ネルー値論文でも、きつい締切の依頼はしないことがマナーであると指摘されています。 |
<< 前記事(2010/01/02) | ブログのトップへ | 後記事(2010/01/16) >> |
タイトル (本文) | ブログ名/日時 |
---|
内 容 | ニックネーム/日時 |
---|
<< 前記事(2010/01/02) | ブログのトップへ | 後記事(2010/01/16) >> |