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伝説・長寿のローカルCM /九州

 今週は、各地の民放で放送されている伝説・長寿のCMを紹介します。古里の方言や、原風景も浮かびます。

 ◆鹿児島

 ◇♪「うんだもこーらー」 郷土の歌で地デジPR

老若男女誰でも歌えるCM曲で地デジをPR=鹿児島地デジ推進協議会提供
老若男女誰でも歌えるCM曲で地デジをPR=鹿児島地デジ推進協議会提供

 「うんだもこーらーアナログ終了」の歌詞で始まる地上デジタル放送の普及促進CM。地元民放4社とNHK鹿児島放送局で09年12月から放送されている。今年3月までは各局のアナウンサーがそろって歌を披露し、4月からは老若男女の県民が出演。テンポの良いCM曲は、誰もが知る郷土の歌の替え歌だ。

 原曲は方言で歌われる「茶わん虫」というわらべ歌。県内小学校の音楽副教材「みんなのうた」に掲載され「地元育ちなら一度は歌ったことがあるはず」と県教委はいう。「うんだもこーらー」は「あらまぁ」の意。歌い出しを聞くと思わず続きが出てくるらしい。

 「茶わん虫」は料理屋の女性が、客の注文した「茶わん蒸し」を「茶わんの虫」と勘違いする笑い話。大正末期に隼人町(現霧島市)の小学校教員、故石黒ヒデさんが作曲した。

 地元放送局でつくる鹿児島地上デジタル推進協議会が「鹿児島らしいCMで地デジPRを」と提案。誰もが知るこの曲が「耳になじむ」と採用された。放送直後から「着うたにしたい」という問い合わせが各局に相次いでいるという。

 総務省によると、鹿児島の地上デジタル放送普及率は62・0%(09年9月時点)と全国43位。なじみ深い替え歌で普及率アップを期待する。【黒澤敬太郎】

 ◆熊本

 ◇「愛とロマンの出逢う街」

 「泉の広場で会いましょうと、あなたの言葉を思い出す、最後のバスはもうすぐ出るのに……」。熊本市桜町の熊本交通センター地下にあるセンタープラザのCM「愛とロマンの出逢(であ)う街」は73年の放映以来、口ずさみやすい歌で県民にはすっかりおなじみ。

 飲食店やドラッグストアなどが入居するセンタープラザは69年に完成した。CMは女性が公衆電話で泣きながら話をする映像など、数種類が製作された。昨年は40周年を記念し30数年ぶりに放映。館内では30分おきに曲が流れ、買い物客を楽しませている。

 センタープラザを管理・運営する九州産交ランドマークは「長い間親しまれてありがたい」。【遠山和宏】

 ◆福岡

 ◇地元民のDNAに

 ♪たまに~は ケンカ~に 負~けてこい~

 1974年の登場から変わらぬ老舗菓子店・東雲堂(福岡市博多区、高木美恵子社長)の銘菓「二〇加煎餅(にわかせんぺい)」の15秒CM。「こらっ、ぜんじ。また、けんかしてきたっちゃろう!」と息子をしかる母親のセリフと共に、地元民のDNAに刻まれている。

 同社によると、創業100年の06年、「ぜんじ」少年が父親となった続編を、全員オリジナルキャストで撮影する企画が浮上。予算も組んだが、肝心の「ぜんじ」少年の居所がつかめず断念したという。現在CMの放送は不定期。「ぜひ見たい」というファンの要望も多く、同社ホームページで最近発見された「30秒フルバージョン」と併せて公開している。【門田陽介】

 ◆長崎

 ◇伝統行事や人も織り交ぜ

 ♪ながさきー、ながさきー、ながさーきものがたりー。県内に住んだ人なら一度は耳にしたはずのフレーズ。菓舗・唐草(長崎市)の「ロマンの銘菓・長崎物語」のCMは40年前、神父が聖書を開くと実は長崎物語の箱で一口ほおばる「オーグッド」編に始まる。

 当時、地方のCMは静止画が主流だったため、評判になった。以来、長崎くんちのコッコデショやハタ揚げなど県内の伝統行事と、それにまつわる人も織り交ぜた菓子紹介は、変わらぬ挿入歌と共に54本を数え、現在は昆虫写真家の栗林慧さん=平戸市=が環境への思いを語る。

 ロングセラーの秘密について同社の中村豊彦専務(56)は「いくらCMが良くても、お菓子がおいしくなければだめですよ」。【野呂賢治】

 ◆山口

 ◇名所旧跡が次々登場

 山口銘菓・ういろうなどの和菓子製造販売「豆子郎(とうしろう)」(山口市)のCMは、社のテーマソング「豆子郎さん通りゃんせ」と、アニメの「豆子郎坊や」で構成する、30年以上変わらぬ長寿CMだ。

 「一つ二つ見つけた」で始まる歌は、五重塔がある瑠璃光(るりこう)寺、サビエル記念聖堂など、同市の名所旧跡が次々と登場する数え歌。放映は県内全域のため、着物姿の坊やのバックには、県内各地の祭りや自然の風景のアニメが流れる。

 「歌を聞いて育った子供が、大きくなって『山口銘菓といえば豆子郎』とイメージしてもらえれば」と同社。長寿の秘訣(ひけつ)は、子供への親しみやすさのようだ。【諌山耕】

 ◆宮崎

 ◇古さと懐かしさ強調

 宮崎を代表する銘菓「青島せんべい」。1960年代、新婚旅行のメッカといえば鬼の洗濯板で知られるここ青島。

 CMは多くの新婚さんがバスで青島に乗り入れる映像で、あえて古さと懐かしさを強調した。8年前から地元でスポット的に流れ、評判は上々だ。そして変わらないのがCMソング。こんな具合だ。

 <のびのび青い空 ゆらゆら青い海 青島に来たらパリパリパリパリ 青島せんべい>

 40年前に作られた歌で、録音状態も当時のまま。

 お菓子の日進堂の宮野秀人専務は「変わらぬ味を伝えたかった。映像は宮崎交通さんの提供です」という。ラム酒などを加えた2種類のクリームを挟んだ薄焼きせんべい。味、サクサクとした歯応えも創業時から変わらない。【小原擁】

 ◆大分

 ◇心に刻む原風景

いまどき珍しいカセットテープで販売される八鹿の歌
いまどき珍しいカセットテープで販売される八鹿の歌

 大分出身の南こうせつさんのさわやかな歌声で始まる地元・八鹿(やつしか)酒造(九重町)の天気予報。OBS大分放送で火木土曜の夕方にオンエア。72年にスタートした。大分人にとって「ヤン坊マー坊」以上になじみがある。

 出だしは南さんの歌声で「八鹿、八鹿の天気予報~♪」とさわやかに流れ、予報に入ると一転「水澄みて空は青く山はみどり」などと、別の歌い手によるご当地ソングが流れる。バックは滝の映像。子供からお年寄りまで原風景として心に刻まれている。

 日本酒「八鹿」から焼酎、酒粕漬まで幅広く商品展開する同社はこの曲のカセットテープを500円で販売している。ホームページでは「今時カセットテープで!」とレトロ感を演出。「懐かしのメロディーを口ずさみ、思い出話に花を咲かせてみては」とPRしている。【梅山崇】

 ◆佐賀

 ◇ストリート出身「梅☆星」が歌う

 即席めんの老舗メーカー「サンポー食品」(基山町長野)のCMソングを、福岡出身のフォークデュオ「梅☆星」が歌っている。

 05年に「久留米ラーメン」のカップ・棒状めんのCMに初登場。とんこつラーメン発祥の地・福岡県久留米市の昔の街並みや、かつての久留米駅などのモノクロ写真をバックに、2人の「花になりたい」が流れた。

 路上ライブで鍛えた歌声に「曲の題名は」「歌っているシンガーは誰?」と同社に問い合わせが相次いだという。

 同社創業60周年を迎えた昨年からも引き続き起用。ユーモラスな演出の最新の焼豚ラーメンのCMには出演もし、オリジナルソングを歌っている。【遠藤雅彦】

毎日新聞 2010年5月19日 地方版

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