この問題を受け、ブラジルは初めて中国に通貨・人民元の切り上げを要請し始めた。ブラジルはまた、玩具の輸入関税を引き上げ、靴などの中国製品にダンピング防止措置を講じ始めたほか、貿易と通貨に関してさらなる対策を取る可能性をちらつかせている。
一方で、一部のブラジルメーカーは中国やインドに生産拠点を移し始めた。在ブラジル中国商工会議所会頭のチャールズ・タン氏によれば、メーカーの大量流出は特に自動車部品産業で著しいという。メーカーは生産拠点の移転によって、ブラジル市場と海外市場に製品を供給するのに必要な安価なコスト基盤を手に入れられる。
問題の元凶は中国ではなく「ブラジルコスト」
タン氏は、ブラジルの問題は中国よりも、むしろ国内での事業にかかるコストの高さと大きく関係していると指摘する。ビジネスを行う環境を調べた世界銀行の研究では、ブラジルは183カ国中127位にランクされている。
税制は複雑に入り組んでおり、労働法は重荷だと見なされている。「『ブラジルコスト』のために我々は仕事を輸出することを余儀なくされている」とタン氏は言う。
エスコバス・フィダルガのミゲス氏は、ブラジルの労働法は従業員の給料のコストを100%近く押し上げ、国産品の競争力を失わせていると話す。
それでも、中国からの輸入品は必要悪だと考える向きもある。ブラジルの産業はとにかく、急成長する自国経済についていくだけの生産能力を持ち合わせていないとタン氏は言う。
「仮に今日、中国からの輸入をすべて打ち切ったら、経済の半分が活動停止に追い込まれる。新しいビルを建設できなくなるし、電話1本さえかけられなくなるだろう」
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