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フォーゴトン・レルム
D&Dミニチュア

第1話を読む

「世界の神秘―そのすべてはある様式の一部に過ぎない。
すべての事物は、大きなものも小さきものも、“竜の予言”に仕えているのだ」

―イェスリン・リーン、ドラゴンの予言者


岡和田 晃 著

イラスト:見田航介


 古くからあることわざに、百聞は一見に如かずというものがある。D&Dにおいてもこれは同じだ。
 D&Dにまつわる不安の多くは、親しい仲間と卓を囲めば吹き飛んでしまうものがほとんど。
 だけど、たとえ僕が言葉を尽くして説明しても「楽しい」という思いは伝えづらい。どうしても抽象的な説明になってしまって、肝心のD&Dを遊んでいる時のドキドキ感やワクワク感を伝えられないからだ。
 そこでD&D を遊んだ様子を、「リプレイ」という形で提示してみることにした。
 リプレイというのは、実際にD&Dを遊んだ光景を録音して読みやすく整理したものだ。
 小説やドラマの脚本のように、読んで面白い。そのうえ、RPGの遊び方を楽しみながら理解できるので読み物としても人気があり、毎月、数多くのリプレイが出版されている。

DM・プレイヤー紹介
  • 岡和田晃:今回のセッションの語り部にして、司会・進行・判定役を一手に司る役回り。
  • 中山葵:18歳の女子大生。大学に入る前は地元で弟や友人たちと文庫本で発売されている国産RPGを中心に遊んでいたが、ルールブックを眺めたり、リプレイを読んだりすることの方が多かった。D&Dは初心者。
  • ノダソル:韓国人ゲーマー。現在、日本の大学へ留学中。流暢な日本語を駆使して、RPG のセッションに参加することができる。D&Dは初心者。
  • 高橋志行:気鋭のアナログゲーム研究家。大学院でミクロ社会学とルドロジーの研究をしている。筆者が担当した『ウォーハンマーRPG』リプレイ に、プレイヤーとして参加してもらっている。D&D第4版は初心者。
  • カナイセイジ:サークル「カナイ製作所」を主宰する新進気鋭のアナログゲームデザイナー。アナログゲームの世界的イベント「エッセンシュピール」に出展し、現地メディアの取材を受けるなど、グローバルに活躍中。
  • 見田航介:翻訳家としての顔のみならず、『メタルヘッドエクストリーム』(新紀元社)、『フレイムギア』(新紀元社)といった日本の会話型RPGのイラストワークも手がける。
  •  D&Dについて言えば、柳田真坂樹先生による『D&D第4版がよくわかる本』シリーズがホビージャパンから発売され、好評を博している。
     リプレイとして面白いだけではなく、D&Dのルールシステムや戦術、キャラクター作成についてのコツなどが贅沢に盛り込まれた「よくわかる本」の名にふさわしい充実のシリーズだ。
     柳田先生のリプレイは「フォーゴトン・レルム」というハイ・ファンタジーな世界を舞台にした大冒険を記録したものだが、D&D にはほかにも「エベロン」という近代科学のように魔法が発展を遂げた、スチーム・パンクっぽい世界観も日本語で展開されている。
     だったらエベロン世界を舞台にして、柳田先生のリプレイのようにD&D初心者の方でも楽しんで読め、かつカッコいいリプレイは書けないものかと考えた。
     エベロン世界は、映画『インディ・ジョーンズ』を思わせるエキゾチックながら、初心者にも入り込みやすい世界観が特徴だ。そしてこのリプレイでは、エベロン世界の見どころを紹介していきつつも、少しずつパーティが団結し、成長していく様子を伝えられるようなリプレイにできたらと願っている。D&Dを身近に感じてもらうために、プレイヤーにはD&D初心者の方や一般の学生にも参加してもらっている。アドベンチャーや編集方法にも、僕なりの工夫を加えている。
     もちろん、ルール解説や運用のコツなんかはあくまも僕の解釈によるのものだから、色々と偏っている部分があるかもしれない。また運用についても「これがオフィシャルなやり方だ」なんて主張するつもりはまったくないので、自分なりの運用法を編み出すための参考にしてもらえたら幸いだ。


     まもなく『D&D 第4版スターター・セット』が発売になる。赤い箱の中に、親切なルールブック2冊とダンジョン・マップやモンスター用のトークン、そしてダイス一式などがぎっしりと詰まった、最新の入門用セットだ。リプレイを読み終わったら、ぜひこの“赤箱”を入手し、実際に自分たちだけの冒険を楽しんでみてくれ! そして気に入ったら、『プレイヤーズ・ハンドブック』を購入し、終わりなき冒険の旅に乗り出してほしい。

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