菅を脅かす与謝野“カネ醜聞” 仙谷も絡む政権の「新爆弾」に

2011.01.31


菅首相が政権浮揚の目玉と目論んだ与謝野氏だが、その思惑はもろくも崩れそうだ【拡大】

 国会は31日、いよいよ2011年度予算案が実質審議入り、本格的な論戦がスタート。政府が野党からの批判で大炎上するのは必至だが、数あるアキレス腱の中でも最悪の存在が、与謝野馨経済財政相(72)だ。その変節ぶりが総スカン状態を招いているだけでなく、「政治とカネ」問題も抱えているからだ。民主党は政権交代直前の09年夏、自公政権の財務相だった与謝野氏の迂回献金疑惑を追及し、参院予算委員会での集中審議を求めた。これを逆に自民党が徹底追及する構えをみせているのだ。この問題を巡っては仙谷由人代表代行(65)の名前も浮上。菅直人首相(64)はこの古くて新しい爆弾を処理できるのか。

 与謝野氏はこの週末も、民放テレビ番組や活字媒体のインタビューなどに露出。政府の「社会保障と税制の一体改革」や持論の財政再建に向けた消費税増税を説きまくった。しかし、与謝野氏にその資格があるか、永田町では疑問視する声が強い。

 09年6月、麻生内閣の財務相だった与謝野氏の資金管理団体「駿山会」が、商品先物取引会社「オリエント貿易」(07年にエイチ・エス証券の完全子会社になり、08年に商号をエイチ・エス・フューチャーズに変更)などが作った2つの政治団体「政経政策研究会」(政経会)と「平成の会」から、約1億円の献金を受けていたことが発覚した。

 問題視されたのは、カネの流れ。まず、どちらもオ社が幹部職員の給与から「政経会」への寄付金を天引きし、献金の原資の一部となった。天引きされたカネの一部もしくは全部が、給与などで補てんされた。つまり、2つの団体から駿山会への献金は事実上、オ社から与謝野氏側への企業献金ではないかという理屈で、個人の資金管理団体への企業献金を禁止する政治資金規正法に違反する疑いが指摘されたのだ。

 加えて、社員の一部が所得税の寄付金控除を受けていたうえ、与謝野氏は金融担当相を務め、先物取引の規制問題にかかわったことで“不適切な関係”も疑われた。

 与謝野氏は「献金してくださる方の善意に対し、疑う余地はない」と釈明したが、政権交代を目前に控えていた民主党は、これに食いついた。

 鳩山由紀夫代表(当時)は「まずは自身で調査し、事実関係を明らかにされることが大事だ。国民の皆さんに説明責任を果たすということだ」と述べたうえ、参院で「政治とカネ」の集中審議を求めた。ただ、「麻生降ろし」や衆院選をめぐる政局などのため、与謝野氏の問題はくすぶったままになっていた。

 一方、この問題には、仙谷氏も絡んでくる。仙谷氏の関連団体「仙谷由人全国後援会」の07年分の収支報告書によると、前述の「平成の会」から10万円の寄付を受けていた。

 民主党の小沢一郎元代表に近い民主党若手議員はこう話す。

 「西松事件を思い出してほしい。西松事件では、西松建設が幹部社員にダミー政治団体への会費を納めさせたうえ、小沢氏側へ献金していた。会費分は賞与で補填していた。小沢氏と与謝野氏で、どう構図が違うのか。菅首相は『不条理を正す』と言って小沢氏を国会に突き出したり、党から追い出そうとしているが、与謝野氏や仙谷氏はおとがめなしか。自分に都合のいい“身内”には、相変わらず甘い」

 菅首相は27日、与謝野氏起用について、「国民利益のための改革を実現する大義において起用した」と胸を張った。さらに、民主党代表代行時代、同党の参院比例代表で当選しながら離党した議員に「議席を党に戻した上で行動すべきだ」と発言したことについては、「過去に発言した例とは異なる」と強調。なんともご都合主義的に逃げた。

 自民党国対筋は「与謝野氏の裏切り行為が、国民の政治不信を招いている。迂回献金疑惑の資料も集めており、予算委員会で徹底追及する」と手ぐすねを引いている。

 

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