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ペン&ぺん:チョコと風船 /鹿児島

 MI5と言えば、イギリスの情報局保安部。ミリタリー・インテリジェンス・セクション5。機密情報を扱う軍事情報部第5課だ。

 そのMI5が2005年9月に、機密指定を解除した第二次世界大戦中の文書を公開した。そこに「板チョコ爆弾」のことが書いてある。

 製造を計画したのはナチス・ドイツ。甘いお菓子に偽装して英国内に爆弾を持ち込み、破壊活動をするためだ。板チョコ爆弾の中身は鉄製。それを本物のチョコレートでコーティングしていた。端を折ると7秒後に爆発する、とロンドン発の共同電は伝えている(05年9月6日付の毎日新聞朝刊の国際面に掲載)。

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 爆弾といえば、風船爆弾もある。

 太平洋戦争末期、日本軍が極秘に指令し、実行した。直径10メートルの気球に数十キロの爆弾をぶら下げる。これを太平洋岸から偏西風に乗せてアメリカ本土まで飛ばす。気球は和紙をコンニャクのりで張り合わせて作られた。世に伝えられる「ふ号作戦」である。

 大本営が放つように命じた風船爆弾は1万5000個。実際に放たれたのは約9000個。気球に入れる水素が調達できなかったためだという。

 米国側の研究では、北米で着弾が確認されたのは約300個。約1000個が到達したとの推計もある。1945年5月には、オレゴン州の村で1個が爆発し、ピクニック中の子どもたちら6人が死亡したという(2010年8月11日付の毎日新聞朝刊・千葉県版など参照)。

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 甘いチョコレートは子どもたちの好物。風船は遊び道具のはず。戦争はそれを人殺しの道具にしてしまう。

 バレンタインデーが近づく。店頭にチョコレートが並び始めた。

 義理チョコでもいい。平和の味をかみしめて食べたい。<鹿児島支局長・馬原浩>

毎日新聞 2011年1月31日 地方版

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