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 近年、メディアの報道で「若者の××離れ」というフレーズを目にすることが多くないだろうか。「××」に入る単語は車、活字、海外留学、スキー、映画など様々だ。いずれも若者の内向き志向や、停滞する消費活動を危惧する論調の記事だが、残念ながらそういった言葉は若者の心には届いていない。ネットニュースサイト編集者として活動する中川淳一郎氏が解説する。

 * * *
 彼らの書き込みを見ていると反発の背景には、年配者、もしくはその象徴的存在としての団塊世代への「怒り」があることが透けて見える。乱暴に要約すれば、「そりゃ、あんたたちの時代はよかったよな」という思いである。

 団塊の世代が企業で主力として働いていた頃は、世の中は総じて好景気。タバコ、酒をたしなみ、車を所有して旅行やスキー、映画など趣味に興じた(あくまで世代全体に対して抱いているイメージである。念のため)。

 また、バブル世代に対してもそれに近い印象を抱いている。消費すること、物を所有することがステータスであった時代の人たち、という認識だ。

 この感覚は今の若者には通じない。給料は上がらない、雇用は安定しない、そもそも就職先が見つからないそんな環境の中で、「お金のかかる趣味や生き方」を、彼らはもはや志向していない。

 私はこの「怒り」を心情的にはある程度理解できる。若者を「就職氷河期に突入して以降(1993年~)社会人になった者」と区分すれば、私も若者側に入る。

 低成長やデフレが続く中で、旧来の成功の図式、幸福の価値観を押し付けられるのは腹が立つだろう。「なぜいい時代にオイシイ思いをした連中の物差しで計られなければいけないんだ」と。
 
 こうした若者の思いがネット上で行き着くのはどこか。一つの答えは「若者の交通事故離れ」と題された2ちゃんねるのスレッド(掲示板)にある。

 元の記事は、日経QUICKというニュースサイトの「運転も『草食系』? 飛ばさぬ若者、事故激減」という見出しの記事だった。

「16~24歳が運転した死亡事故で、スピード違反が主因になったケースは2009年で120件と、10年前の5分の1以下に激減している」といった内容だった。これが2ちゃんねるでは「若者の『交通事故離れ』が深刻化を極めている」との見出しがつけられ、数多のアクセスとコメントを集めた。

「若者の××離れ」という定番レトリックに怒った若者が、そういった論調の記事だと「解釈」できるものを見つけ、揶揄するためにスレッドを立てたと考えるのが自然だろう。

 この記事を「若者の××離れ」と結びつけて見出しを立てたセンスはなかなかのものだ。
 
※SAPIO2011年2月9日・16日号

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