羅老号:失敗原因究明できず、再打ち上げ延期へ

 韓国とロシアは、人工衛星打ち上げロケット「羅老(ナロ)」の2回目の打ち上げ失敗原因を究明できず、3回目の打ち上げはかなり先に延期される可能性が高まった。

 韓国の教育科学技術部(省に相当)は31日、韓ロ失敗調査委員会(FRB)が先月24日から27日にかけ、ロシアで第4回会合を開いたが、羅老の2回目の打ち上げ(昨年6月)の失敗原因に対する見解の差を埋めることができなかったことを明らかにした。

 教育科学技術部の金善玉(キム・ソンオク)巨大科学政策官は同日、「韓国側はロシアが製作した1段目・2段目ロケットの分離装置を失敗原因とみているのに対し、ロシア側は韓国が製作した『飛行終了システム』(FTS・軌道を離脱したロケットを爆発させる装置)を失敗原因として挙げ、共同で検証を進めてきたが、見解の差を埋めることに失敗した」と述べた。

 韓ロ双方は今後、さらに会合を開き、原因究明作業を継続することを決めた。しかし、これまでに指摘されていない新たな失敗シナリオは見つからないとみられる上、第5回会合の日程も決まっておらず、短期間に原因究明作業が終わる可能性は高くない見通しだ。

 韓国政府は、2回目の打ち上げの失敗原因を究明した上で、それを補完しない限り、3回目の打ち上げはできないとの原則論を繰り返している。慎重姿勢は、3回目の打ち上げに対する大統領府(青瓦台)と教育科学技術部の一部が否定的な見解を示しているためとみられる。成功して当たり前で、失敗すれば政権運営にも負担となり、今後の宇宙開発計画にも打撃は避けられないという見方が背景にある。技術面でも既にロシアとの協力で得られるものはすべて得たため、韓国側には今後は独自開発に移るべきだという主張がある。

 一方、羅老を開発した航空宇宙研究院と科学技術団体などは「それでも3回目の打ち上げをすべきだ」との考えだ。打ち上げ、衛星分離、軌道進入にわたる全過程の経験があるかないかでは大きな違いがあり、成功すれば、韓国の研究陣が自信を付け、今後の国産ロケット開発にとって大きな財産になるとの主張だ。航空宇宙研究院はまた、3回目の打ち上げに必要な2段目ロケットは既に製作が完了しており、打ち上げを行っても追加的な費用負担はないと主張している。

 3回目の打ち上げの損得勘定を精査しなければならないのはロシアも同様だ。費用面で見ると、3回目の打ち上げは明らかに損害となる。3回目の打ち上げを拒否した場合、韓国政府から受け取れない代金は1050万ドル(約8億6000万円、契約金額全体の5%)にとどまるが、新たな1段目ロケットを製作するには200億ウォン(約14億6000万円)程度掛かるからだ。また、羅老の打ち上げを成功させられないまま、韓国との契約を破棄すれば、ロケット市場にマイナスの前歴を残す可能性も否定できない。

李吉星(イ・ギルソン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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