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【格闘技】下田昭文 涙の新王者 内山高志はTKO防衛2011年2月1日 紙面から
◇ボクシングWBA2大世界戦下田、涙の王座奪取−。WBA世界スーパーバンタム級は、同級6位の下田昭文(26)が在日韓国人3世王者の李冽理(り・れつり、28)を大差の判定で破り、世界初挑戦で王座奪取に成功した。4回にバッティングで右目上から流血したが、その後は一方的に攻め抜き、死闘を制した。エリートの家に生まれた“落ちこぼれ”が、自分の拳で世界に名を刻んだ。WBAスーパー・フェザー級王者・内山高志(31)は同級4位の三浦隆司(26)に1度はダウンを奪われたものの、8回終了TKO勝ちで3度目の防衛に成功。KO率で歴代日本人世界王者のトップに立った。 泣いた。下田の顔が血と汗と涙でグチャグチャになった。「試合後に涙が出たのは初めてです」。帝拳の門を偶然にくぐってから10年目の冬、落ちこぼれだった少年が、世界の頂点に立った。 「運命で帝拳ジムに入って、努力の大切さを知ってここまで来られた。周りの人に心から感謝しています」 父は法曹関係に勤め、2人の兄は有名大卒というエリート一家。だが下田だけは違った。「中学時代は停学もちょいちょいあった」という問題児。家の壁が穴だらけになるほど荒れた。5つの高校受験に失敗。そして「ストレス発散のため」だけにボクシングをやってみようと、帝拳を訪れた。世界王者を何人も輩出した、国内屈指の名門だとは知らなかった。 だが、グローブをはめると、いきなり隠れた才能を発揮した。天性のスピードとリズム感。入門2日後に異例のスパーを許され、先輩ボクサーをボコボコにした。せっかく入った高校は2カ月で中退したが、ボクシングでは成長の一途。2002年、WBA世界スーパーフライ級王者セレス小林に挑戦するため来日した、当時21戦21KOのアレクサンデル・ムニョス(ベネズエラ)のスパーリングパートナーに指名された。ムニョスは小林にTKO勝ちし、新王者になるのだが、そのムニョスを公開スパーで圧倒した。 自分が大好き。自室には自分のボクシングの試合を記録した「下田昭文ビデオコレクション」をきちょうめんに並べている。「ビデオも見て研究しろよって言ったら、『見てます』と言う。でも、よく聞いたら、自分のビデオだった」と葛西裕一トレーナーが苦笑するほどのナルシスト。8回戦に昇格するまでロードワークもしなかった。だが、今は誰よりも走る。 「ボクには2敗と1分けがある。そのたびに先が見えなくなるくらい落ち込む。でも、自分がいやだと思うことを逃げずにやっていけばいいんだと気付いた」 もう落ちこぼれじゃない。努力に目覚めた天才は、さらなる高みを目指す。 (竹下陽二) PR情報
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