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【社説】

小沢氏強制起訴 「無実」なら説明厭うな

2011年2月1日

 民主党の小沢一郎元代表が強制起訴され、政治資金問題は法廷の場で白黒の決着がつけられることになった。「無実」を主張するなら、国会でも説明を尽くすことが政治家に課せられる責務だ。

 検察審査会制度によって強制起訴された政治家は、小沢氏が初めてである。昨年九月に市民で構成する検察審が「起訴すべきだ」と議決しており、起訴は時間の問題だった。政権与党の大物議員が刑事被告人となったことは、政治的にも意味が重い。

 政治資金規正法違反に問われた起訴事実は、小沢氏の資金管理団体「陸山会」が二〇〇四年に購入した土地に絡んだものだ。小沢氏からの借入金四億円を収入として計上せず、土地取得の支出について、〇四年分と〇五年分の政治資金収支報告書に虚偽の記入をしたとの内容に集約される。

 会計責任者の元秘書らと共謀関係にあったとされるが、小沢氏は「潔白だ」と一貫して訴えている。公判でも無罪主張するのは間違いない。検察官役を務める指定弁護士との間で、全面対決となるのは必至といえる。

 新しい検察審の仕組みについて「法廷で黒白をつけようとする制度」と検察審の議決書に書かれていた。市民が求めたのは、無罪なのか、有罪なのかの法廷決着である点を重視すべきである。「推定無罪」の大原則が働いていることを忘れてはならない。

 検察は二回にわたり、「不起訴」の判断をしており、有罪の立証には難しさが伴うことも予想される。冷静に裁判を見守りたい。

 強制起訴を契機に小沢氏に対し、離党や議員辞職を迫る動きが加速しよう。菅直人首相も年頭の記者会見で、自発的な離党あるいは辞職を促す発言をしたが、政治的思惑が先走ってはならない。小沢氏本人が今後、国会審議や党運営に迷惑がかかると判断すれば、離党という選択もあろう。

 ただし、小沢氏は重い政治責任を負っていることも自覚してほしい。陸山会の土地取引問題では、その原資について、小沢氏の説明が二転三転した。この事件とは別に、一昨年の衆院選時、陸山会が九十一人の候補者に分配した多額資金には、旧新生党解党時の残金が含まれていたようだ。

 不透明な「政治とカネ」への国民の目は厳しい。小沢氏が「出る」と言った政治倫理審査会でもまだ声が聞けない。国会の場で説明を厭(いと)う姿勢を見せれば、政治家としての信用にさらに傷がつく。

 

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