◆監督会見
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ザッケローニ監督帰国会見要旨 (1/2)
AFCアジアカップ2011
■優勝できたのはチームが一丸となれたから
決勝から2日たって、ふと考えていたのは、日本がどうして勝てたのかということだ。カギは試合内容もそうだが、チームが一丸となれたことが大きい。一監督としては、戦術、ゲームプラン、今回中東と同じグループだったのでどう戦うか、韓国やオーストラリアがどう来るのかを研究することは行っていた。だが、どうして勝てたのかを考えると、チームが一丸となったことだと思う。
戦術だけではなく、選手、テクニカルスタッフ、トレーナーら、関係者のすべてがいい関係を築いたことで、30日間、素晴らしい時間を過ごせた。勝つと監督や選手だけがクローズアップされるが、チーム全員のスピリットが素晴らしかったことを、この場を借りてお話したい。高いレベルになればなるほど、そうだったと思う。わたしの中では、そういうふうに考えている。応援してくれたサポーターにも喜びを伝えたい。現地にもたくさんの方が来てくれたし、テレビ越しでも多くの人が応援してくれていると聞いていたので、とても心強かった。協会やチームだけの勝利ではなく、日本全体の勝利だと思っている。
――成田に到着した時の率直な気持ちは?
最高にうれしかった。代表監督に就任して間もないが、10月の韓国遠征から戻った時も暖かく迎えてもらえた。そして、今日も同じように迎えてもらってうれしく思っている。チームのエネルギーの源としてやっていきたい。
――準備期間が少ない中、どういう割り切りをして大会に臨んだのか?
確かに、大会前の調整には苦労した。しかし、強いチームが大会に臨むにあたって、スロースターターになることは多い。ワールドカップ(W杯)・南アフリカ大会で優勝したスペインも最初は良くなかったが、だんだん良くなって優勝した。フィジカルを上げなければいけないことには苦労したが、1つ残念なことがあるとしたら、決勝を戦うにあたって、みんなのフィジカルイコンディションが100%ではなかったことだ。特に若い選手たちは、今回が自分のキャリアのチャンスだと非常によくとらえてくれたし、すぐにコンセプトも理解してくれた。いい選手たちだが、それ以上に頭のいい選手たちだと思う。
――なぜ、チームが一丸となれたのか?
一丸となれた瞬間を考えてみると、ヨルダン戦に引き分けてからシリア戦までの期間だったと思う。テクニカルスタッフやほかのスタッフも、役割をもう1回確認しようと話したし、選手たちも素晴らしかった。特に、経験豊富な選手たちがリーダーシップをとって、チームを1つにしようとしていた。中でもキャプテンの長谷部が、ベテランと若手の融合を効果的に図ったと思う。苦労を一緒に乗り越えることで強くなった。これまで長く監督をやっているが、ここまでベンチスタート、控えメンバーが結果を出す、決定的な仕事をするのを見たことがない。大切なのは、チーム全員がひとつの方向を向いていくことだと思う。
■森脇のおかげでいい雰囲気になった
――ベンチの選手の何を見て「よし、行って来い」と思うのか? 投入の基準は?
まず、この大会に向けてわたしが行ってきたのは、大会を通じて成長しなければならないということだった。この大会は若い選手に経験を積ませることを考えた。日程もよかった。グループリーグが中東勢で、準々決勝は開催国のカタールということで、完全アウエーの中で戦えた。準決勝の韓国は素晴らしいチーム。日本と並んでアジアで最高のサッカーをしていると思う。決勝のオーストラリアは経験があり、完成度の高いサッカーをやってきた。異なるチームと戦うのはチームを成長させる上で意味があるし、役に立った。
控え選手が信頼できると感じたのは、シリア戦のアップの時だった。彼らの姿勢を見ていて、試合に入ってやってくれると確信した。残念ながら、大会中に酒井、槙野、松井、香川とけが人を出したが、途中から森脇が合流して、彼は槙野がやっていたムードメーカーの役割を果たしてくれた。チーム一丸となっていたが、さらに彼のおかげでいい雰囲気になった。
――アジアの大会を初めて戦ってみて、そのサッカーの印象は?
まずは結果うんぬんではなく、個人的にいい経験ができた。W杯でしか見たことのなかったアジアのサッカーを体感できたことが良かった。アジアは面積が広く、いろんなスタイルのサッカーをやってくる。レベルも上がっているし、日本と韓国はリーダー役を担う存在だ。イタリアの関係者、友人とも、これからはアジアのサッカーがもっともっと成長すると話している。
――大会中に一番うれしかったこと、苦しかったことは?
考えてみると、ほとんどがうれしかったことだ。苦しいエピソードはオウンゴールで点を取られたとか、レッドカードで1人少ない状況に陥った時とかだった。そういう中で、期間中に3人の選手が誕生日を迎えて、それをお祝いしたのが楽しかった。岡崎、永田に子供が生まれて、期間中に祝ったこともうれしかった。
・アジアカップ日程・結果 (2011/1/31)