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社説:論調観測=国会論戦始まる 与野党協議意見割れる

 24日に通常国会が召集された。まさに「海図なき論戦の幕開け」(毎日)である。

 菅直人首相の施政方針演説、さらに野党第1党の自民党、谷垣禎一総裁が登場した代表質問を各紙社説が取り上げた。

 首相は消費税を含む税と社会保障の一体改革についての政府基本方針や環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の結論を6月までに取りまとめるとし、与野党協議を呼びかけた。

 首相の呼びかけに野党は応えるべきだと主張したのは、毎日、読売、朝日だ。

 毎日は「野党は重く受け止めるべきだ」とした。毎日は、自民党大会を受けた社説で谷垣総裁に対し「与野党協議に加わり、国民の将来のための議論を前に進める時ではないか」と注文した。もちろん、「できるだけ速やかに政府・与党の方針を大筋で固め、国会で説明すべきだ」という前提のうえである。

 読売も、政府・与党が方針をまず示すべきだとしたうえで「野党側も協議を拒否する理由はないのではないか」とした。

 谷垣総裁が、協議は民主党が政権公約を撤回してからの話と主張した点について朝日も「撤回しなければ話もしないというのであれば、かたくなに過ぎないか」と疑問を投げかけ、接点を見つけるよう議論を促した。

 日経も、野党に対し「重要課題の対案を示し、政策論争の質を高めてほしい」と指摘した。一方、産経は菅首相の挑発的な姿勢、東京はマニフェストの変節への弁明がない点を強調し、菅首相批判に重きを置いた。

 その後、菅首相の施政方針を受けた代表質問で、谷垣総裁は民主党のマニフェスト撤回だけでなく、衆院の解散・総選挙を協議参加の前提条件にしたいとして対決姿勢を鮮明にした。

 「『解散』とはまだ早すぎる」(毎日)、「『解散が条件』理はあるか」(朝日)と、見出しにうたって両紙は異をとなえた。毎日は「解散権が首相の専権事項であることは、自民党が最もよく理解するところだろう」と谷垣発言に疑問を呈した。

 読売も、自民党に「党利党略優先の対応は自制してほしい」、日経も「解散しなければ与野党協議に参加しないというのは理解に苦しむ」と主張した。

 一方、産経は「開き直り」、東京は「謙虚さが足りない」と、やはり菅首相の答弁批判が中心だった。もちろん、朝日、読売は公約を実行していないことを政権は謝るべきだと踏み込んで批判し、毎日は「もっと腰を低く」と菅政権にくぎを刺した。【論説委員・伊藤正志】

毎日新聞 2011年1月30日 2時30分

 

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