政府の作業部会は、主に専業主婦家庭の子に就学前教育をする幼稚園と、共働き家庭などの子を預かる保育所の区別をなくし、「こども園」に一本化することをあきらめた。作業部会の最終案では幼稚園と保育所も残す。当初方針からの明らかな後退で、早急な見直しを求めたい。
幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省と所管が違う。これまで統合は、既得権益を守りたい役所や関係団体の抵抗で実現しなかった。
昨秋に政府が作業部会に示した案は、10年の経過期間を設けるものの、幼稚園と保育所を廃止し、親の就労に関係なく子どもを受け入れる「こども園」に一本化するとうたっていた。ところが幼稚園関係者が「小学校入学の前の幼児教育という役割が損なわれる」などと反発した。今回の最終案はその声を取り入れた。
最終案では新たに「こども園」をつくり、3歳以上の子すべてに幼児教育を保障する。同時に保育が必要な0~5歳児には保育も保障する。
現在の保育所は原則としてすべて「こども園」になるが、幼稚園は転換するかどうか自由に選べる。政府は「こども園」への補助を厚くし転換を促すというが、十分な財源を用意できるかわからず効果は不明だ。市町村が認可する保育所に入れない待機児は0~2歳に多い。この受け入れも幼稚園に義務付けていない。
そして0~2歳児を預かる施設として保育所を残す。これでは制度が複雑で利用者にわかりにくい。行政の重複という弊害も残りかねない。
働く母親が増え、都市部を中心に待機児問題が深刻だ。一方で幼稚園は定員の7割しか子どもがおらず廃園も相次ぐ。幼稚園も保育所も税金がつぎ込まれる社会的な資源だ。
子どもや親にとって最も望ましい使い方を考える必要がある。だからこそ、民主党は幼稚園を使い待機児童をなくし、親が働いているかどうかで小学校に入る前に通う施設が違う状況を変えようとしたはずだ。
ならば、当初掲げた通りに幼稚園と保育所を一本化すべきだろう。5年程度の移行期間はあってもいい。株式会社などが参入しやすい環境も整え、十分な受け皿を用意することが重要だ。安心して子育てできる環境を早急に実現したい。
厚生労働省、幼稚園、保育所、こども園、作業部会、幼児教育、共働き家庭、教育
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