国外での災害、紛争などの緊急事態を想定した在外邦人の輸送訓練が19日午前、報道陣に公開された。航空自衛隊小牧基地(愛知県小牧市)を外国の空港に見立て、陸海空自衛隊約370人が政府専用機やC130輸送機など8機、輸送艦1隻を使って本番さながらの訓練を行った。
訓練は17~20日に実施。19日の訓練では、小牧基地に政府専用機や輸送機、ヘリコプターが続々と到着した。邦人役は20~30人のグループに分けられ、空自隊員のセキュリティーチェックを受けた。その後、小銃を持って警戒する隊員の誘導で、待機する輸送機に乗り込んでいった。一方、海自は愛知県・渥美半島の伊良湖沖に輸送艦を待機させ、ヘリコプターで邦人役をピストン輸送した。
自衛隊法では、外国で災害や紛争など緊急事態があった場合、自衛隊機や自衛艦による邦人輸送ができると規定されている。
海外での自衛隊による邦人救出を巡っては、菅直人首相が昨年12月、朝鮮半島有事の際、在韓邦人救出のための自衛隊派遣を韓国側と協議する考えを示した。しかし、韓国側では過去の日本の植民地支配に対する国民感情を背景に反発が出ており、仙谷由人官房長官(当時)も会見で「歴史的な経緯があるから簡単な話ではない」と述べるなど、政府内でも議論が分かれている。【花井武人、樋岡徹也】
毎日新聞 2011年1月19日 11時16分(最終更新 1月19日 11時57分)