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〈メディア激変12〉地域から―2 住民ディレクターの発信

2010年4月17日2時25分

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写真ツイッターの手ほどきを受ける梶原伯夫さん(中央)と、それを撮影する岸本晃さん(左)=福岡県東峰村

 「空気のいい所です。ぜひ、東峰村にも来ていただきたいと思います」

 先月21日、福岡・博多、那珂川に面したイベント会場。「新しい情報発信のセカイ!」と題した講演会で、スクリーンに映し出されたのは約50キロ離れた大分との県境、東峰村の観光タクシー運転手、梶原伯夫さん(56)だった。

 梶原さんがいたのは村の情報発信施設「メディアカフェ」。ネット生中継サービス「ユーストリーム」を使い、イベントに参加していた。

 ツイッターによる情報発信で街の活性化を試みるイベント「大名なう」第2弾が、この日をはさんで4日間、福岡・大名地区と東峰村を結んで行われた。

 講演会はこれに合わせて、ITジャーナリストの林信行さん(42)や神田敏晶さん(48)ら、ツイッターなどの交流(ソーシャル)メディアに詳しい専門家を招いて開かれた。

 講師の一人が岸本晃さん(56)。住民自身がディレクターになり、ビデオ番組を制作・発信して、それを地域づくりに生かす。そんな「住民ディレクター」活動を提唱し、東峰村など各地で支援を続けてきた。

 この日、岸本さんは約70人の聴衆を前に、住民ディレクター活動を共にする梶原さんを紹介。「大地で生きている方々が、自分たちで映像や文章を発表する時代がやっときた」と話した。

 「日々の暮らしこそニュース」と、岸本さんは14年ほど前から住民ディレクター活動に取り組んできた。「ユーストリームやツイッター、誰でも使えるこういう道具をずっと待っていた」

 東峰村の名産である小石原焼やブランド米「棚田米」。「大名なう」期間中、それらを大名地区の飲食店で使ってもらい、知ってもらう。

 と同時に、これまでの住民ディレクター活動の延長として、動画やツイッターでも村の情報を発信していく。そんな企画に、岸本さんはまず、東峰村側から参加した。

 だが、ツイッター利用者も見あたらない村内。岸本さんが白羽の矢を立てたのが、梶原さんだ。村の誰もが顔見知り、すれ違えば必ず会話が生まれる。その「情報発信力」を見込んだ。大名地区に持ち込んだ名産品は、梶原さんのつてで調達したものだ。

 梶原さんは講演会前日、パソコンのキーボードを2本指で一つひとつ押さえながら、初めてのツイッターに挑戦していた。

 「岸本さんお疲れさまです。上手(うま)く行ったみたいですね」。岸本さんの講演終了後、梶原さんはツイッターで、そうねぎらった。(編集委員・平 和博)

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