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〈メディア激変11〉地域から―1 街に人々を呼び込む

2010年4月17日2時25分

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写真「大名なう」はFMラジオとも連動、アイフォーンで動画をネット生中継した(左は杉山隆志さん)=福岡・天神、金川雄策撮影

 「ツイッター見た方レギンスプレゼント中ですよ」「大名時計を探せクイズ現在進行中」

 福岡市の繁華街、天神の西側に、大名と呼ばれる500メートル四方ほどの地区がある。静かな街並みに、衣料品店や飲食店などが点在するこの地区で、2月12日から3日間、「大名なう」というイベントが行われた。

 参加54店舗は期間中、一斉に街の魅力、店の情報をツイッターで発信。ネットの投稿の連鎖が、街にどれだけの人々を呼び込み、活気を与えるか。そんな「ツイッター実験」だ。

 「初めはツイッターの広がりも、よくわからなかった」。大名で衣料品店「グワナー」を経営する大坪潤さん(37)は、若手有志の集まり「大名会」の会長だ。かつて若者の街として人気が過熱したが、今は空き店舗も目につくこの地区の活性化に取り組む。

 実験の中核となったのは、天神・大名WiFi(無線LAN)化協議会。ITを生かした周辺地域の振興に取り組んできた。

 「どうやって行くの、店のお勧めは。そういう情報交換が、同時進行で手軽にできるのがツイッター」と同会事務局長でフライトシステムコンサルティング取締役の杉山隆志さん(43)。「路地の多い大名の案内にはぴったりだった」

 この実験で使われたハッシュタグ(キーワード)「#daimyo(大名)」を手がかりに、店主らの書き込みをたどって店舗を訪れた人たちが、今度はその感想をツイッターに投稿。さらに店主らが返信し、会話が広がる。

 直接売り上げに変化がなかった店もある。だが、近くの新天町から参加した時計・宝石店「ハナブサ」の衛藤憲太郎さん(55)は、「こういうイベントを通じてネットワーク作りができれば、やがて商売に効いてくる」と言う。

 地元で50年以上続く定食屋「青木堂」の青木秀徳さん(35)は、実験の2日前からツイッターを始めたばかり。だが、「お客さん同士が感想を共有し、盛り上げてくれた」。客足は普段より2割増になったという。

 「東峰村の棚田米本日二回目は、14.45に炊き上がります!なんか、パン屋さんみたいだな〜」

 1カ月後、青木さんはこう書き込んだ。3月19日からの4日間、今度は約120店舗が参加し、「大名なう」第2弾を行った。この時は大分との県境、人口約2600人の東峰村と連携した。村の名産品のPR、現地発の動画、そしてツイッターで。(編集委員・平 和博)

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