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国内
モンスターペアレントと500万円提訴された小学生親が反論
2011.01.31 10:00
ここまでこじれてしまった原因は「教師」と「親」、どちらにあったのか?
埼玉県行田市の市立小学校で、女性教師が担任する小学3年生の女子児童の両親を訴えた。連日ワイドショーなどで“モンスターペアレント騒動”として報じられたこの事件だが、当の両親はこの“レッテル”に真っ向から反論する。
「いろいろなテレビ局が、私たち夫婦のもとに取材にきました。どんなに話しても放送では“モンスターペアレント”扱いされてしまう。でも、私はモンスターペアレントでもかまわない。何より娘が大事だから……。子供を守るためには親が動くしかない」
担任教師に訴えられた女児の父親は、目をかっと見開き、こうまくし立てた。
昨年9月28日、45歳の女性教師は、両親を相手取り500万円の慰謝料を求める訴訟を起こした。女子児童の母親から再三の嫌がらせを受け、不眠症に陥ったというのである。以降、事態は収束を迎える様子もなく、まさにドロ沼の様相を呈している。
発端は昨年6月に起こった子供同士のいさかいだった。仲裁した女性教師に対し、女児の母親が「いじめられているのはうちの娘。悪いのは相手なのに、なぜ不公平な扱いを受けるのか」と抗議。以降、事態はエスカレートしていった。
教師とやりとりする「連絡帳」は、母親からのクレームで埋め尽くされた。教師の訴状によれば、同年6月30日には、両親側が女児のテストの解答を教師がわざと消して×にしたのではないかと疑い、〈最低な先生〉〈人間関係を円滑にする能力も著しく劣っている〉とまで記されている。
女児の父親は憤慨した様子でこう話す。
「連絡帳に色々と書いたのは、先生にこちらの思いを伝える手段が他にないからです。それに対して向こうからは何も回答がなかったことはほとんど報じられていない。報道では“しつこく8回もクレームをつけた”とされているけど、そうじゃない。一回一回、娘がいじめられるたびに書いただけ。校長先生が“学校を信じて下さい”と一言書いたぐらいで、担任の先生からの回答はなかったんです。学校に電話をしても切られてしまう。だから、教育委員会などに相談するしかなかったんです。報道では、その過程がまったく抜け落ちている」
9月の中旬から両親は、女児にICレコーダーを携帯して登校させるようになった。学校で何が起こったのかを把握するため、毎日、登校してから下校するまでの約8時間を録音していたのである。傍目には、行き過ぎた行為としか思えないが、父親によればこれにも正当な理由があるという。
「きっかけは、9月15日に娘が教師から背中を叩かれたことです。教師は『背中を軽く触っただけ』といっているが、うちの子供は絶対にウソはつかない。校長はいつも『子供のいうことをうのみにするな』ととりあってくれないし……。子供の言葉を証明するためには、録音をするしかないと考えた」
父親によれば、女児に携帯させているICレコーダーには、10月末に、教師が女児に対し「逆上がりの練習をサボった」とクラス全員の前で謝罪させている様子も録音されていたという。
「あれを聞いた晩は、夜寝られなかったよ。その一件以来、娘は靴を捨てられるなど、みんなからいじめられるようになった。それでも、娘はずっと皆勤賞で学校に通ってる。『正義は勝つから頑張ろう』って、3人で話し合ってるんです」
1月21日には女性教師が担任を外れ「娘が元気を取り戻して、顔つきが明るくなった」(母親)という。
一方、両親からは悪魔のように断じられる女性教師だが、ある学校関係者は「いい先生なのに、昨年から憔悴しきっていて見ているこちらが辛かった」と語る。学校側は「人権のこともあるので取材はお断わりしています」というのみだ。
※週刊ポスト2011年2月11日号