ただ、自民党の旧4人組と、現在の民主の新4人組が異なるのは、その4幹部の目指すところに、大きな隔たりがあるということ。
自分の保身が第一の菅首相。内心、それを見限っている仙谷氏。"次"を窺う岡田氏、枝野氏。そこではすでに、分裂の火種が燻り始めている---。
■第1幕 王殺し
1月14日に内閣改造に踏み切った菅首相だったが、その評価は極めて低い。
新たに入閣したのはたった4人。しかも、そのうち3人は与謝野馨経財相や江田五月法相、中野寛成国家公安委員長といった"ロートル"だ。そして、残る一人の枝野幸男官房長官も、昨年7月の参院選大敗の戦犯だという、まさに「廃材内閣」である。
ただ、そうした中で、なぜか妙に機嫌が良い人物がいる。官房長官を更迭されたはずの、仙谷由人・民主党代表代行だ。
組閣翌日の1月15日は、仙谷氏の65歳の誕生日。これに先立ち、組閣真っ最中の14日午後、仙谷氏は議員会館内の自室で、親しい記者たちからマグカップなどの誕生祝いを受け取り、相好を崩していた。
「枝野が会見で緊張してた? 僕だって最初の時は緊張したよ。人間もライトも数が凄いしさ。長官は普段の会見から大変なんだ。どんな質問に対しても準備しておいて、すぐ答えなきゃいけないし。でも、そんな全部知っているわけないだろ」
ねじれ国会の運営に苦しむ菅首相は、「小沢切り」と同時に「仙谷切り」にも踏み込んだ。仙谷氏本人は、直前まで官房長官続投を希望していたと言われる。だが、西岡武夫参院議長が烈火のごとく怒って仙谷続投を批判したこともあり、保身第一の首相は、仙谷氏を更迭した。
しかし、仙谷氏の表情は明るい。
「大政局を起こさないと、日本の政治は変わらない。日本の政治は漸進主義というか、弥縫策の繰り返し、その場しのぎの政治が続いて来た。だから僕は、ドーンと行って、ごちゃごちゃ言ってる奴らを正面突破したいと思っていた。でもまあ、"ちょっと変わった議長"とかもいらっしゃるし、難しいね(笑)」
「解散なんて絶対にしないよ。300議席も持ってたら、世論がどんなに非難しようが解散なんてするわけない。結局、権力を持っているほうが強いんだ。もし追い込まれたら、"政権のたらい回し"をするだけだ」
溢れ出る傲慢と自信。これが、官房長官をクビにされ失脚したはずの政治家の言とはとても思えない。
しかし、それはそうだ。仙谷氏の後任は、"子飼い"と言ってもいい枝野氏。首相官邸は事実上、いまでも仙谷氏の完全コントロール下にある。さらには党の代表代行として、逆に自由に動き、発言し、裏工作ができるポジションを得た。
そして何より、仙谷氏が身を引くことで、その最大の政敵・小沢氏はいよいよ進退窮まった。仙谷氏が表向き政府を去ることで、野党の攻撃の焦点は強制起訴を待つ小沢氏の動向に移った。離党か、除籍か。小沢氏は最大の政治生命の危機を迎えている。
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