28日に東京・後楽園ホールで行われたボクシングの興行で「平成のKOキング」のまな弟子がプロデビューを果たした。錨吉人(21)は元東洋太平洋ライト級チャンピオンの坂本博之氏(40)が会長を務める「SRSボクシングジム」のプロ第1号。坂本会長と同様に児童養護施設での生活を経験したボクサーだ。
現役時代に破壊的な強打で人気を集めた坂本会長の教え子は、1回KO勝ちで期待に応えた。「楽しかった。僕が坂本さんに力をもらったのと同じように、僕も施設の子どもたちに夢を与えたい」と言葉を弾ませた。
鹿児島県西之表市で生まれた錨は父親を早くに亡くし、鹿児島市内の児童養護施設「たらちね学園」で小学6年から高校2年まで過ごした。施設の指導員の紹介で、現役時代から養護施設の支援活動を続けてきた坂本会長と出会い、昨年8月に東京都内に開設されたジムに入門した。
坂本会長は「デビュー戦に勝つことが目的じゃない。これからだ」と意気盛ん。世界王座に4度挑戦してタイトルに手が届かなかった会長の夢を引き継いだ錨は「世界のベルトを取りたい」ときっぱり言った。