「東洋太平洋バンタム級タイトルマッチ」(2月5日、大阪府立体育会館第1競技場)
ボクシングの前日本スーパーフライ級王者・中広大悟(29)=広島三栄=が、2月5日に東洋太平洋バンタム級王者のマルコム・ツニャカオ(32)=真正=に挑む。王者は元世界WBCフライ級王者で、現タイトルも2度の防衛に成功している。中広は強敵との対戦を前に「失うものはない」と背水の決意を示した。
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失意の日本王座陥落からわずか3カ月。再起のチャンスは突然訪れた。6日の始動日。東洋太平洋バンタム級王者のツニャカオに挑戦予定だった安田幹男(六島)が負傷したため、中広が急きょ指名を受けた。
相手は元世界王者。スーパーフライ級より1階級上のバンタム級で試合をするのは初めてだ。試合までの期間は1カ月に満たない。不安要素が多すぎた。
「ボクシングを始めて一番、迷った」。それでも悩み抜いた結果、「目標が見える方がいい」と挑戦を決めた。
ツニャカオはこれまでの対戦相手の中でトップレベルの実力を持つ。98年のデビューから32戦(27勝2敗3分け)を積み重ねるなど経験も豊富だ。ビデオで研究を続ける新谷会長は「パンチの打ち方がうまくて、サウスポー独特のタイミングがある。今までの相手の中でも(06年に敗れたWBCフライ級王者)ポンサクレックの次に強いんじゃないか」と警戒を強めている。
一筋縄ではいかない強敵に対して、中広はこれまでとスタイルを一変させ、インファイトを仕掛ける決意だ。「相手が持っているものすべてが僕よりも上なので、今まで通りなら絶対に負ける。タイミングは難しいけど、飛び込んでいきたい」。挑戦決定後は何度もサウスポーのボクサーとスパーリングを行い、間合いを測るなど対策を進めている。
試合まで1週間を切った。減量は順調に進み、気持ちも高ぶりつつある。「失うものはない。最後(12ラウンド)までやるつもりはない。倒すか、倒されるかで戦いたい」。2・5、大阪。広島が生んだ名ボクサーが、ボクシング人生をかけた一戦に挑む。