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【社会】

ビザ取得し国後島渡航 自粛無視が常態化

2011年1月30日 朝刊

 【ウラジオストク=共同】北方領土の国後島に二十九日、日本人男性三人がロシアの査証(ビザ)を取得して渡航したことが分かった。日本政府は日本人がロシアのビザを取って北方領土を訪問すればロシアの管轄権を認めることにつながりかねないとして自粛を再三要請してきたが、同島入りした三人のうち一人は共同通信の電話取材に「自粛要請は知っている。過去に何度も来ている」と発言。要請を無視した日本人の北方領土訪問が常態化している実態が明らかになった。

 北方領土へは昨年十一月、メドベージェフ大統領がロシア国家元首として初めて訪問。その後もシュワロフ第一副首相を現地視察に派遣するなど、北方領土実効支配の既成事実化の動きを強めている。ロシアビザ取得による渡航の自粛要請が守られていない実態が露呈したことで、日本政府はさらに苦しい立場に追い込まれた。

 日本政府は一九八九年の閣議了解に基づき、ビザなし交流を除く北方領土への訪問自粛を要請してきた。しかし昨年八月にツアー客ら九人が国後、択捉の両島を訪問。十月にも二人が国後島を訪れるなど日本人の北方領土訪問は後を絶たない。

 今回の三人は五十〜六十代で北海道根室市の水産関係者とみられる。二十九日午後、ロシア極東サハリン州の州都ユジノサハリンスクから国後島の古釜布(ロシア名ユジノクリーリスク)に航空機で到着。日本人であることを隠すためか、いずれもマスク姿だった。二月一日に島を離れる予定という。

 

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