楽しいはずの休日が一瞬で暗転した。東京ドームシティアトラクションズ(東京都文京区)で30日起きた小型コースター「スピニングコースター舞姫」からの転落事故。中高生や親子連れらでにぎわっていた園内には悲鳴や安否を気遣う声が飛び交い、来園者は当時の様子や驚きを語った。同遊園地はアトラクションの安全点検のため、慌ただしく午後2時に閉園。チケット売り場は入場券の払い戻しを求める人であふれ返った。【松本惇、伊澤拓也、馬場直子】
園内にいた東京都足立区の小学6年の男児(12)は「ドンというすごい音がした」と振り返る。大田区の自営業の男性(39)は「遊具のカーブの下あたりに男性があおむけになって倒れていた。大柄だったので、安全バーがしっかり閉まっていたのかなと思った」と青ざめた顔で話した。
事故の約1時間前に乗ったという山梨県韮崎市の中学2年の男子生徒(14)は「怖いとは感じたが、まさか落ちる人がいるとは……」と絶句した。
「舞姫」について、危険性を指摘する来園者もいた。
川崎市中原区の男性会社員(44)は「カーブですごい遠心力がかかり、レールが揺れる。簡単なバーしかなく、大丈夫なのかと思っていた」。埼玉県新座市の中学1年の女子生徒(12)も「回転が速く、急ブレーキがかかる場所は特に危ないと感じた。体重のある人ならもっと怖いと思う」と指摘した。
同遊園地を運営する「東京ドーム」社によると「舞姫」は00年3月に営業開始。毎朝、レールやブレーキ、安全バーのほか、車両下も目視で点検していた。週1回は技術職員が亀裂などを確認し、年1回は車両を分解しレールとともに詳しく調べていた。目立ったトラブルはなかったという。
同遊園地では10年11月、垂直落下型の「タワーハッカー」を点検中の女性従業員(26)が指を3本切断。同12月には、ジェットコースター「サンダードルフィン」の部品が落下し、地上にいた小学3年の女児(9)が軽傷を負った。施設側はこの後、全遊具を点検し、文京区に異常がないと報告している。
同社の北田英一営業本部長は会見で「心より哀悼の意を表し、おわび申し上げます」と謝罪した。同遊園地は当面の間、休園するという。
毎日新聞 2011年1月30日 20時39分(最終更新 1月31日 0時28分)