昭和41年に現在の静岡市で、一家4人が殺害されたいわゆる「袴田事件」について、日本弁護士連合会は、長年にわたる身柄の拘束で袴田巌死刑囚の精神状態が不安定になっているとして、江田法務大臣に対し、死刑の執行停止と病院での治療を受けさせるよう勧告しました。
昭和41年、現在の静岡市清水区でみそ製造会社の専務の一家4人が殺害された事件では、元プロボクサーで会社の従業員だった袴田巌死刑囚(74)が強盗殺人などの罪に問われ、昭和55年に死刑が確定しました。袴田死刑囚は無実を訴え、弁護団は再審を求めるとともに、長期間身柄を拘束されて精神状態が不安定になっているとして、おととし、日弁連=日本弁護士連合会に人権救済の申し立てを行いました。日弁連は、専門医に面談を依頼するなど調査を行った結果、袴田死刑囚は妄想を伴う精神障害にかかり、病状も深刻になっているとして、27日、江田法務大臣に対し、直ちに死刑の執行を停止するとともに、病院で専門的な治療を受けさせるよう勧告しました。日弁連の勧告には法的な強制力はありませんが、袴田事件を巡っては国会議員の有志のグループも、25日、死刑の執行停止などを求める申し入れをしています。