職員による不祥事が相次いでいることを受けて、前橋市は不祥事を内部告発した職員に対して「報奨」を出す制度を始めました。これについて市民などからは、税金を使って内部告発に報奨を出すのはおかしいなどの批判が相次いでいます。
前橋市では、平成22年度、盗みで逮捕された職員1人が懲戒免職になったほか、10人が懲戒処分を受けるなど、不祥事が相次ぎ、弁護士や大学の教員など、外部の有識者による委員会を設けて再発防止の検討を進めてきました。その結果、新たに職員の行動指針を作成し、この中で、職員が内部告発をして不祥事が明らかになり、未然に防止できた場合などには、現金などの「報奨」を出すことができるとしました。この制度について、総務省公務員課は、全国の自治体でも聞いたことがないとしています。市民や職員からは、税金を使って内部告発に報奨を支払うのはおかしいとか、不正を告発するのは当然だなどの批判が出ています。地方自治に詳しい群馬大学の北村純准教授は「密告を助長するような制度になる可能性があり、きちんと内部で議論されたのか疑問だ。職場内で不正を正せる雰囲気作りが大事だ」と指摘しています。前橋市の高木政夫市長は「市民の利益につながる内部通報者に何らかの評価をしたほうがいいと思い、報奨を出すことにした。誤解されている面もあり、今後、さらに議論を深めていきたい」と話しています。