連日寒いですね。川歩きする気力がそがれていますが、本格的活動に向けてがんばりましょう!

写真は、安里川ではじめて釣ったオオクチユゴイです。
方言ではミキュー、海外では密林の鱸(スズキ)と呼ばれています。カッコいい魚ですよね。
さて、昨年末に那覇市が募集していた”那覇市景観計画(案)”の意見募集(パブリックコメント)について、最終的に下記のとおり送りました。 トータルで見た都市計画・景観計画ということで、景観以外のことにも少し触れています。
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那覇市景観計画(案)へのパブリックコメント
【はじめに】
安里川を含む那覇市内の河川は、那覇市景観計画(案)の記述にもとおり、水質が改善し多くの魚が戻ってきています。また、カワセミをはじめとする鳥も多く生息しています。
都市河川で力強く生きている、豊富な種類の生き物たちに驚かされますが、市民のほとんどが、安里川に多種多様な生き物が生息していることを知らないのが現状です。
川歩きしている時に話しかけてくる市民の多くが、残念ながら安里川は汚く縁遠いものであると感じているようです。しかし、海の魚や在来魚が生息していることを伝え、実際に魚を釣ってみせると、「川を見る目が変わった」という嬉しいご意見をいただくことがあります。
河川への不法投棄や垂れ流しなども「川は汚い」というイメージからの負の連鎖から乗じており、魅力を伝え、市民の意識や感覚を買えていくことで、負の連鎖を払拭できることを実感しています。
つきましては、景観計画の策定にあたっては、「生き物や利用者も一つの景観ととらえ、川に生息する生き物やその習性を把握した、生き物と市民をつなぐことのできる景観形」成を望みたいと思います。具体例としては次のとおりです。
【河口~国際通り】
オフィスビルやアパート等が立ち並ぶコンクリートジャングルを流れるエリアですが、わずか数十メートルの川幅の水域に、西表島のマングローブ林に匹敵する魚種が集まっている特殊なエリアとなっています。
潮位の影響を受けるため、ヒラアジ類(ロウニンアジ・オニヒラアジ・ギンガメアジ)、ゴマフエダイ、ハタ類、クロダイ類、ヒイラギ、マゴチ、オオメジロザメ、ハゼ類など様々な海の魚が見られることが最大の特徴です。
多くの魚種を呼び寄せる最大の要因が、干潮時に干上がる川底の堆積物です。堆積物には砂礫が多く含まれており、干上がることで微生物などが活性化しています。小さなカニなどの餌となる生き物をはぐくみ、食物連鎖のサイクルを生んでいます。
また、建物が魚が隠れる陰を作り、ビル群によるマングローブ林のような状況が奇跡的に形成されています。
治水とのバランスもあるかもしれませんが、安里川下流も国場川下流(漫湖湿地)と同様に、一種の”干潟”や”湿地”という位置づけで取り扱っていただきたく思います。
植栽や護岸整備に関しては、川と市民とを遮断してしまう密植や、過度に高い転落防止柵は避けるべきで、川に住む魚に触れ合うことができるスペースを確保し、この区域に生息する魚や、釣りなどを楽しむ人たちも、那覇ならではの景観の一つとなれるような計画をしていただければと思います。
古老からのお話では、かつての安里川や久茂地川は豊かな漁場であったと聞きます。
【安里駅~松川付近】
複雑に蛇行しながら流れる中流域は、ボラやテラピアなど汚水に強い生き物や、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やプレコなどの外来種が目立ってしまいますが、コイやフナ、オオウナギなどの在来種が増えつつあります。また、少ない木々には、鮮やかな清流の鳥、カワセミを見ることができます。
これら在来種が生息する一つの要因になっているものが、複雑なカーブを描く安里川の各所に見られる”淵”の存在です。魚の休憩場所となり、カワセミの給餌場所になっています。釣り歩いて調べたところ、フナ類などの在来種は、淵に集まる傾向があるようです。
自然との調和を考えた景観形成でも、淵は重要な役割をしますが、治水の面でも淵は重要な役割をしていると思われます。治水のために安里川を直線化かつ川底をフラットにする工事が進められていますが、川底をフラットにすることで、増水時にカーブ外側の護岸を水が乗り越えるなどの災害が発生する危険も考えられます。
カーブ外側の流れは速く深くなり、内側は遅く浅くなるのが水理の基本です。水の逃げ場としての淵も考慮いただき、県などの関係機関との連携、専門家による十分な検討・設計のうえで淵を残した治水を検討していただければと思います。
また、在来魚のフナなどの魚が多く集まる淵の護岸の上に、カワセミの止まり木を植栽していただければ、市民の目を楽しませ、川への親しみを感じるエリアを創造できるのではないかと思います。
【松川~金城ダム】
このエリアは、カワセミやオオウナギはもちろん、大きなテナガエビ(タナガー)や、「琉球の清流」などの書籍において、清流の魚と紹介されているオオクチユゴイが多く見られる流域です。
オオクチユゴイは名前が外来魚のオオクチバス(ブラックバス)と似ていますが、ミキユーという古来からの方言名が名づけられている海産の在来魚です。(おそらく3色の姿から「三毛猫(ミキー)のようなイユ」と呼ばれたものと考えられます。三毛猫のような身近な魚であったことが想像できます)
オオクチユゴイの生息に関しては、安里川をはじめとする都市河川の水質の向上はもちろんですが、堰や滝の下でよく見られることや、雨の日に活性があがることが釣り人の間で知られていることなどから、比較的高い濃度の酸素を好む傾向にあるものと考えられます。また、上流の森や木々は、昆虫を捕食するオオクチユゴイの餌の供給源となっており、また、神経質なオオクチユゴイの隠れ家にもなっています。
安里川の水質向上には、下水道整備のほか、金城ダムの水量調整能力とエアレーションによって活性化された微生物が一役買っていると考えられます。上流部で見られる小石や小さな落ち込みなども、金城ダムのエアレーションと同様な効果が期待できますので、川底の平坦化による整頓を行うのではなく、より自然の渓流に近い形で整備していただければと思います。
また、水辺に生えるちょっとした草が、オオクチユゴイの幼魚やテナガエビの隠れ家にもなっており、また、夜行性のオオウナギの捕食場所にもなっているようです。
つきましては、水辺には抵抗を受けない程度の草(背丈の低いツユクサ類など)を植えたり、川にある程度覆いかぶさるような植栽を設け、木陰を作ってもらえればと思います。
【要望事項】
植栽や自然素材を用いた護岸を導入し、整然と河川を整備することにより、見た目は美しくなるかもしれません。しかし、見た目だけの景観、生き物や川に触れ合えることができない景観計画は避けるべきです。様々な生き物が住み、だれもが興味を持てる生命観あふれる景観計画が必要であると思います。
そのためには安里川のなかに、わずかに残っている淵や干潟をできるだけ活かすことが大切です。治水のための護岸整備、浚渫が行われていますが、渓流部の浚渫など効果に疑問が残ります(大雨により、もとの形に戻っています)。対策として川底まですべてをコンクリートや石灰岩で固めてしまうのも、本来の自然を活かすという意味では問題がありますので、絶対に避けていただきたいと思います。
完成時の景観はもちろん、工事中の景観保全にも注意する必要があります。
区画整理地域より真嘉比川を伝って流れてくる堆積土砂も、川底や治水に影響を与えている一つの要因になっていると思われます。公共工事はもちろん、民間工事についても県赤土等流出防止条例に基づいた対策を遵守することにより、堆積土砂(及び浚渫工事)を減らすこともできます。
川に集まる多様な生き物や利用者も一つの景観としてとらえ、安里川の自然や魅力を市民へ伝えることができる計画をたてていただきたいと思います。
生き物を景観の一つととらえるためには、生き物の調査等を十分に行う必要もあると思います。魚類に関しては安里川ファンクラブでも、協力または情報提供できます。生き物の調査は専門家によって行われることが多いと思いますが、日ごろから利用している者しかわからない、生の情報もあります。
なお、利用者としても安全、マナーなど注意すべき面もあり、安里川ファンクラブとしても気をつかうと同時に、市民への河川の魅力や安全、マナーを伝えてまいりたいと考えています。
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ってことで、最終的にこんな感じになりました。
市民、市役所や関係機関、整備に携わる方たちに興味を持って、安里川や都市河川に接してもらえるようになるといいな。
話は変わって、夏ごろに「都市河川のカワセミの撮影」にチャレンジしようと考えています。
写真は専門よ!是非参加したい!!撮影した写真提供できるよ!という型がいらっしゃいましたら、ご協力よろしくお願いします。
また、カワセミの習性などから、撮影のチャンスはこうしたほうがいいとか、アドバイスありましたら是非お願いいたします!
全く使いこなせていない、55mmレンズのデジ一はあります(笑)
草が多いところで、カムフラージュして近接撮影できるかな?
(sacom)
写真は、安里川ではじめて釣ったオオクチユゴイです。
方言ではミキュー、海外では密林の鱸(スズキ)と呼ばれています。カッコいい魚ですよね。
さて、昨年末に那覇市が募集していた”那覇市景観計画(案)”の意見募集(パブリックコメント)について、最終的に下記のとおり送りました。 トータルで見た都市計画・景観計画ということで、景観以外のことにも少し触れています。
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那覇市景観計画(案)へのパブリックコメント
【はじめに】
安里川を含む那覇市内の河川は、那覇市景観計画(案)の記述にもとおり、水質が改善し多くの魚が戻ってきています。また、カワセミをはじめとする鳥も多く生息しています。
都市河川で力強く生きている、豊富な種類の生き物たちに驚かされますが、市民のほとんどが、安里川に多種多様な生き物が生息していることを知らないのが現状です。
川歩きしている時に話しかけてくる市民の多くが、残念ながら安里川は汚く縁遠いものであると感じているようです。しかし、海の魚や在来魚が生息していることを伝え、実際に魚を釣ってみせると、「川を見る目が変わった」という嬉しいご意見をいただくことがあります。
河川への不法投棄や垂れ流しなども「川は汚い」というイメージからの負の連鎖から乗じており、魅力を伝え、市民の意識や感覚を買えていくことで、負の連鎖を払拭できることを実感しています。
つきましては、景観計画の策定にあたっては、「生き物や利用者も一つの景観ととらえ、川に生息する生き物やその習性を把握した、生き物と市民をつなぐことのできる景観形」成を望みたいと思います。具体例としては次のとおりです。
【河口~国際通り】
オフィスビルやアパート等が立ち並ぶコンクリートジャングルを流れるエリアですが、わずか数十メートルの川幅の水域に、西表島のマングローブ林に匹敵する魚種が集まっている特殊なエリアとなっています。
潮位の影響を受けるため、ヒラアジ類(ロウニンアジ・オニヒラアジ・ギンガメアジ)、ゴマフエダイ、ハタ類、クロダイ類、ヒイラギ、マゴチ、オオメジロザメ、ハゼ類など様々な海の魚が見られることが最大の特徴です。
多くの魚種を呼び寄せる最大の要因が、干潮時に干上がる川底の堆積物です。堆積物には砂礫が多く含まれており、干上がることで微生物などが活性化しています。小さなカニなどの餌となる生き物をはぐくみ、食物連鎖のサイクルを生んでいます。
また、建物が魚が隠れる陰を作り、ビル群によるマングローブ林のような状況が奇跡的に形成されています。
治水とのバランスもあるかもしれませんが、安里川下流も国場川下流(漫湖湿地)と同様に、一種の”干潟”や”湿地”という位置づけで取り扱っていただきたく思います。
植栽や護岸整備に関しては、川と市民とを遮断してしまう密植や、過度に高い転落防止柵は避けるべきで、川に住む魚に触れ合うことができるスペースを確保し、この区域に生息する魚や、釣りなどを楽しむ人たちも、那覇ならではの景観の一つとなれるような計画をしていただければと思います。
古老からのお話では、かつての安里川や久茂地川は豊かな漁場であったと聞きます。
【安里駅~松川付近】
複雑に蛇行しながら流れる中流域は、ボラやテラピアなど汚水に強い生き物や、ミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)やプレコなどの外来種が目立ってしまいますが、コイやフナ、オオウナギなどの在来種が増えつつあります。また、少ない木々には、鮮やかな清流の鳥、カワセミを見ることができます。
これら在来種が生息する一つの要因になっているものが、複雑なカーブを描く安里川の各所に見られる”淵”の存在です。魚の休憩場所となり、カワセミの給餌場所になっています。釣り歩いて調べたところ、フナ類などの在来種は、淵に集まる傾向があるようです。
自然との調和を考えた景観形成でも、淵は重要な役割をしますが、治水の面でも淵は重要な役割をしていると思われます。治水のために安里川を直線化かつ川底をフラットにする工事が進められていますが、川底をフラットにすることで、増水時にカーブ外側の護岸を水が乗り越えるなどの災害が発生する危険も考えられます。
カーブ外側の流れは速く深くなり、内側は遅く浅くなるのが水理の基本です。水の逃げ場としての淵も考慮いただき、県などの関係機関との連携、専門家による十分な検討・設計のうえで淵を残した治水を検討していただければと思います。
また、在来魚のフナなどの魚が多く集まる淵の護岸の上に、カワセミの止まり木を植栽していただければ、市民の目を楽しませ、川への親しみを感じるエリアを創造できるのではないかと思います。
【松川~金城ダム】
このエリアは、カワセミやオオウナギはもちろん、大きなテナガエビ(タナガー)や、「琉球の清流」などの書籍において、清流の魚と紹介されているオオクチユゴイが多く見られる流域です。
オオクチユゴイは名前が外来魚のオオクチバス(ブラックバス)と似ていますが、ミキユーという古来からの方言名が名づけられている海産の在来魚です。(おそらく3色の姿から「三毛猫(ミキー)のようなイユ」と呼ばれたものと考えられます。三毛猫のような身近な魚であったことが想像できます)
オオクチユゴイの生息に関しては、安里川をはじめとする都市河川の水質の向上はもちろんですが、堰や滝の下でよく見られることや、雨の日に活性があがることが釣り人の間で知られていることなどから、比較的高い濃度の酸素を好む傾向にあるものと考えられます。また、上流の森や木々は、昆虫を捕食するオオクチユゴイの餌の供給源となっており、また、神経質なオオクチユゴイの隠れ家にもなっています。
安里川の水質向上には、下水道整備のほか、金城ダムの水量調整能力とエアレーションによって活性化された微生物が一役買っていると考えられます。上流部で見られる小石や小さな落ち込みなども、金城ダムのエアレーションと同様な効果が期待できますので、川底の平坦化による整頓を行うのではなく、より自然の渓流に近い形で整備していただければと思います。
また、水辺に生えるちょっとした草が、オオクチユゴイの幼魚やテナガエビの隠れ家にもなっており、また、夜行性のオオウナギの捕食場所にもなっているようです。
つきましては、水辺には抵抗を受けない程度の草(背丈の低いツユクサ類など)を植えたり、川にある程度覆いかぶさるような植栽を設け、木陰を作ってもらえればと思います。
【要望事項】
植栽や自然素材を用いた護岸を導入し、整然と河川を整備することにより、見た目は美しくなるかもしれません。しかし、見た目だけの景観、生き物や川に触れ合えることができない景観計画は避けるべきです。様々な生き物が住み、だれもが興味を持てる生命観あふれる景観計画が必要であると思います。
そのためには安里川のなかに、わずかに残っている淵や干潟をできるだけ活かすことが大切です。治水のための護岸整備、浚渫が行われていますが、渓流部の浚渫など効果に疑問が残ります(大雨により、もとの形に戻っています)。対策として川底まですべてをコンクリートや石灰岩で固めてしまうのも、本来の自然を活かすという意味では問題がありますので、絶対に避けていただきたいと思います。
完成時の景観はもちろん、工事中の景観保全にも注意する必要があります。
区画整理地域より真嘉比川を伝って流れてくる堆積土砂も、川底や治水に影響を与えている一つの要因になっていると思われます。公共工事はもちろん、民間工事についても県赤土等流出防止条例に基づいた対策を遵守することにより、堆積土砂(及び浚渫工事)を減らすこともできます。
川に集まる多様な生き物や利用者も一つの景観としてとらえ、安里川の自然や魅力を市民へ伝えることができる計画をたてていただきたいと思います。
生き物を景観の一つととらえるためには、生き物の調査等を十分に行う必要もあると思います。魚類に関しては安里川ファンクラブでも、協力または情報提供できます。生き物の調査は専門家によって行われることが多いと思いますが、日ごろから利用している者しかわからない、生の情報もあります。
なお、利用者としても安全、マナーなど注意すべき面もあり、安里川ファンクラブとしても気をつかうと同時に、市民への河川の魅力や安全、マナーを伝えてまいりたいと考えています。
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ってことで、最終的にこんな感じになりました。
市民、市役所や関係機関、整備に携わる方たちに興味を持って、安里川や都市河川に接してもらえるようになるといいな。
話は変わって、夏ごろに「都市河川のカワセミの撮影」にチャレンジしようと考えています。
写真は専門よ!是非参加したい!!撮影した写真提供できるよ!という型がいらっしゃいましたら、ご協力よろしくお願いします。
また、カワセミの習性などから、撮影のチャンスはこうしたほうがいいとか、アドバイスありましたら是非お願いいたします!
全く使いこなせていない、55mmレンズのデジ一はあります(笑)
草が多いところで、カムフラージュして近接撮影できるかな?
(sacom)
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