2010-02-04
■[床屋政談・ニュース速報] バンダイナムコHDのリストラと日本映画・オタクカルチャーの運命
バンダイナムコホールディングスの業績が急悪化している。
今2010年3月期は、玩具が定番キャラクターを中心に健闘しているものの、家庭用ゲームソフトや映像音楽ソフトなどのパッケージ商品の販売不振で営業利益が急減。資産内容の見直しや人員削減などに伴う巨額の特損等も加わり、05年の経営統合以来初の最終赤字に転落する見通しだ。09年4〜12月期発表と同時に会社側が修正した。
修正後の今期見通しは、売上高3800億円(前期比10.9%減)、営業利益10億円(同95.5%減)、最終損失310億円(前期は118億円の黒字)。従来予想に比べ、売上高で200億円、営業利益で140億円、最終損益で395億円と大幅な下方修正となる。
減額の最大の要因は、玩具と並ぶ主力事業、ゲームコンテンツの不振だ。とくに、家庭用ゲームが苦戦しており、欧米中心にヒットした「鉄拳6」(出荷累計290万本)を除き、目玉となるヒットも乏しかった。
国内では、「20万〜30万本を目標とする旧バンダイ、バンプレスト系のタイトルの売れ行きが悪い」(石川祝男社長)といい、通期発売見込みの新作タイトル92のうち、ほぼ5割が赤字(前09年3月期は74タイトルのうち3割が赤字)。仕掛かり在庫評価損10億円に加え、海外では店頭での販売価格低下に伴うプライスプロテクション(値下げ分の補填)への引当30億円も追加費用となり、ゲームコンテンツ部門全体で50億円の赤字に転落する見通しだ(従来は55億円の黒字計画)。
同様に、映像音楽パッケージも苦戦しており、こちらでも10億円の在庫評価損を計上する。DVDからブルーレイへの切り替えが進んでおらず、期待したヒット作も出なかったためだ。
また、この映像音楽事業を担うバンダイビジュアルはじめ子会社3社については、収益見通しの悪化により、のれんの減損(約125億円)を実施するうえ、不調が続いているアミューズメント施設の店舗閉鎖に伴う損失60億円、グループ全人員の1割(約630人)の削減を前提とした特別退職加算金約20億円などで225億円の特損を計上。一部繰越税金資産の取り崩し35億円もあり、最終赤字310億円と巨額な赤字計上になる。 バンダイナムコHDは、業績悪化の責任をとって、高須武男会長が代表権を返上を決めた。他の役員もすでに役員報酬を返上している。あわせて、バンダイナムコゲームズの鵜之澤伸社長が副社長に降格し、社長をHD社長の石川氏が兼ねる役員人事も発表した。ゲームコンテンツと映像音楽を「コンテンツ事業」として実質的に統合し、そのなかで「プロデューサー」集団と「パブリッシャー」集団に分けたバーチャルな組織再編を行い、「中小規模の集団ごとに責任と権限を与え、切磋琢磨してヒットを生み出す体制」(同)づくりを急ぐ、という。
来11年3月期については、人員削減による人件費の削減効果(約35億円)、のれん償却費の減少(約35億円)など最低でも80億円の費用減効果が現れる見通しだ。また、今期膨らんだ在庫評価損も減少すれば利益底上げ要因となる。
ただ、問題は石川社長も強調するように、統合吸収で巨大化していく過程で弱まった「ヒット商品を生む力」を回復し、コンテンツ事業の成長力を再構築できるかどうか。パッケージ流通からネット配信へのシフト、3Dテレビに象徴されるゲームと映像ソフトの垣根の消失、といったコンテンツを取り巻く市場変化の荒波は容赦なく押し寄せてきており、「スピード感の回復」(同)が何にも増して重要な課題となる。
「東洋経済オンライン」は、来期は上記の費用減の効果が期待できるものの、コンテンツ事業の収益力回復の具体的なメドが見えないことから、表記程度の利益回復にとどまると現時点では予想する。3月発売の「会社四季報」春号では予想数字を見直す可能性もある。
バンダイナムコHDの今期はゲーム・映像ソフト不振で大幅減額、統合後初の最終赤字に - 10/02/03 (勝木奈美子=東洋経済オンライン)
http://www.toyokeizai.net/business/strategy/detail/AC/c4f0df2b33dbb67ca6fd98439a68c976/
バンダイなんかもそうですね。バンダイなんて、もう今や日本映画の4分の1近くに投資しています。特に北野武映画、だいたいスポンサーはバンダイですね。みなさんからすればここはおもちゃ会社で、ちょっと知ってる人にしてみたら「ガンダムで儲けたところだな」というような認識だと思うんですけれども、映画業界では、ここは今、日本最大の映画投資会社です。特に角川春樹が捕まっちゃって以来、日本映画の命運というのは半分くらいここが握ってるといわれるところです。
『東大オタキングゼミ』1998年4月15日版 ・1997.Toshio Okada 第4章 映画 4−2 映画プロデューサー入門
http://netcity.or.jp/OTAKU/okada/library/books/multi/No4.html#2
バンダイの創業家一族で社長・会長(1980〜99)だった山科誠wikipedia:山科誠が「製作」「エクゼクティブ・プロデューサー」となっている映画だけでも結構ある→http://www.jmdb.ne.jp/person/p0142590.htm
・・・これらのうち、どの程度の作品が黒字だったのか? 言うまでもなくアニメ・ヒーローものなどのキャラクターものは公開後の二次利用・オモチャ・ゲーム・グッズ等とのトータルで黒字になるわけだが、実写は大半が赤字だったのでは? もちろん細かく見れば単なる「Vシネマの劇場公開作品」や公開後の二次利用(ビデオ化)目当ての出資も多かっただろうが。
少なくとも検索した限りでは、「バンダイ」が直接に「製作」に名前を出した実写劇場用映画は、
- 出版社/メーカー: 東映ビデオ
- 発売日: 2005/12/09
- メディア: DVD
- 購入: 1人 クリック: 25回
- この商品を含むブログ (16件) を見る
『北京原人 Who are you?』1997 配給=東映 製作=東映 テレビ朝日 バンダイ 東北新社 製作=高岩淡 伊藤邦男 山科誠 植村伴次郎 企画=岡田裕介 大沢清孝 角田良平 植村徹 園部芳己 プロデューサー=野村敏哉 山川秀樹 冨永理生子 監督=佐藤順彌 出演=緒形直人
・・・が最後ですね。公開当時は当初の上映予定を大幅に短縮する羽目に陥っていたので、日本映画お得意の「前売りバラマキ」にも関わらず興行を維持出来なかったわけだ。バンダイもこの映画で相当に痛い目に遭ったんじゃないか?
この作品以後、バンダイグループの映画製作事業はバンダイビジュアルwikipedia:バンダイビジュアルとハピネット・ピクチャーズ(旧ビームエンタテインメント)wikipedia:ハピネットに集約される形となり現在に至っているようだ。
そのバンダイビジュアルもリストラとはねえ・・・。ここ、90年代から結構、映画には出資してたけどなあ・・・。一応は出資の代償にソフト化権(ビデオ→DVD)を取るのでそこで黒字という計算にはなっていたらしいけど・・・。ただバンダイビジュアルにせよ私は色々とイヤな噂を読んではいて、もちろん真偽は不明なのでここには書きませんが、ただここが傾くと困る監督・プロデューサーも結構居ると思う。もちろん他の配給(制作)会社・メーカーも大半は現状は悪いだろうから、
具体名は挙げずに置くが、どんなに映画論壇とファンが持ち上げようが、「賞」「ベストテン」級の恐らくはあの監督もあの監督も・・・もう暫くは映画は撮れないのではないか?(撮れる者にせよ、「低予算」「予算はともかく本当は撮りたくなかったメジャー系商業映画」といった本来は不本意な仕事を受けざるを得ないだろう)
2010-02-02■[映画から遠く離れて]私がシネカノン(李鳳宇)に冷ややかな理由 id:HALTAN:20100202:p2
私のこの予想は見事に当たりそうだ。もっとも、
それでも見掛けが知的で文化人っぽいとか愛想がいいとかそういう部分だけに惹かれてお金を出す人たちは絶えないのかもしれないし、ファンも何時までも引っ張られ続けるのかもしれない
けれども・・・。
要するに1970年代以降の日本映画ってのは、プロデューサー(制作会社・配給会社)と監督が出資社・協賛社に「赤」を如何に納得してもらうか、それだけの商売なんですよね(id:HALTAN:20100202:p2 ほか) 日本映画の製作・配給・興行を握っている肝心のメジャー三社(東宝・東映・松竹)が、
映画製作・配給・興行を外部の出資社・協賛社・配給会社からカネを吸い上げる為の集金装置としか見做
2010-02-03■[映画人消息]夏夕介さん死去 id:HALTAN:20100203:p1
していないんだから。みんな、最後に業界外の他人にいかに「ツケ」を回すか、それしか考えていない。
日本のプロデューサーや監督なんか「自分が映画さえ作れればいい」って人格破綻者しかいない。とくに監督は他人(日本映画の場合、例えば具体的には出資社・協賛社の周囲で前売りを押し売りされる人たちとか、ロケ先で製作部辺りに騙されて無償・持ち出しで映画に協力するような素人さんとか)のツケで映画を撮って、てめえだけは「賞」「ベストテン」で持ち上げられて「文化人」気取り、という腐った奴ばっか。
それでも見掛けが知的で文化人っぽいとか愛想がいいとかそういう部分だけに惹かれてお金を出す人たちは絶えないのかもしれないし、ファンも何時までも引っ張られ続けるのかもしれない。それはそれで「才能」ではあるが、膨大な赤字と他人への「ツケ」を残して平気でいられる神経ってのは理解できないし理解したくもない。
景気がいい時代はそれでも回っていたけど(2010-01-29■[床屋政談]「困っていない」人たちをどう動かすのか? id:HALTAN:20100129:p2 ほか)、そろそろ「節税」「メセナ」etc各々の思惑で「赤」を飲んでくれるスポンサーもいなくなりそうです。だから最近はいよいよ行政と素人を騙そうと、
「街興し・地域興しに映画を作りましょう」
2009-08-07■[映画から遠く離れて]「1年に数百本もスクリーンで観る」ようなシネフィル趣味に耽溺するばかりでは「じゃあ名物プロデューサー・監督はなぜいなくなってしまうのか?」は絶対に分からない! id:HALTAN:20090807:p1
みたいのが増えてるのね。
なおバンダイビジュアルといえば北野武映画が有名ですが、ただ北野映画の場合は武(オフィス北野)自身が相当に持ち出しているはずなので(2010-01-16■[映画から遠く離れて]闘争 id:HALTAN:20100116:p2)、私は上記で北野武のことを揶揄しているわけではありません。ここは断っておかないとまた早トチリされそうですので・・・上記はむしろ北野武以外のバンダイビジュアルに関わっていた監督達のことですね。ただ北野武(オフィス北野)も今後はどれだけバンダイビジュアルに期待出来るか分からないのは痛いでしょうけれど。
バンダイナムコHDといえば、ナムコも中村雅哉社長時代は日活を買収したり派手にやっていましたね。この中村氏こそ、
「有名な女優さんとお食事したりゴルフが出来る」というノリだけで映画製作に乗り出
2009-08-20■[映画から遠く離れて]続 日本の映画興行・国産映画製作の「終わりの始まり」id:HALTAN:20090820:p1
す「ワンマンの社長さん」そのものの人物でした(何かとひどい噂がありましたよねえ、この人には・・・) そのナムコも結局は日活を手放してしまい、以後、日活は年を追う毎に混迷の度を深めているのはご存じの通り→wikipedia:日活
・・・日本映画もいよいよお仕舞い。いつも書いてるけど、日本映画は1970年代以降は出資社・協賛社に如何に「赤」を飲んで貰うか、業界外の企業・素人に「ツケ」を回すか、これだけで持っていた産業なので、そんなの無くなった方がスッキリするのは言うまでもない。
日本映画が無くなって日本映画の出資社・協賛社・配給会社から「前売りの買取」「興行保証金」といった名目で流れ込んでくるカネに期待出来なくなって初めて、メジャー内外の興行チェーンは真剣に客席稼働率を向上させマジメに「興行」一本で稼ぐことを考えるようになる(2009-12-20■[映画から遠く離れて]殺すべきはきっちりと殺しておかねばならない・・・日本の映画興行・日本映画、清算主義のススメ id:HALTAN:20091220:p1 ほか) 腐りきった日本映画が無くなって初めて、我々日本人はアメリカ人のように安価な映画館で映画を観る喜びを素直に味わえるようになる。
日本映画こそが映画ファンの敵だ。
それとバンダイナムコHDがリストラしちゃうと、細かいけどBS11(2010-01-14■[ジャーナリズム・地獄の季節]ビックカメラとBS11と「生ぐさい」人々 id:HALTAN:20100114:p1)とかは困るんじゃないの? バンダイナムコゲームスはBS11の番組枠を買ってくれていたのに。
アニメ+(アニメプラス)およびANIME+(読みは同じ)は、BS11デジタルで放送されているアニメ番組枠の総称である。通称「アニプラ」。
概要
BS11デジタルが2007年12月1日に開局すると同時に新設された放送枠である。同局の前社長・山科誠がバンダイ創業者の息子であり、かつてバンダイの社長に就いていたこともあったため、バンダイやバンダイビジュアルが製作に参与している作品が多く放送されている。
地上波やCS放送局と同時期に放送される新作を初め、数か月から数年前に制作された旧作までさまざまな作品を放送する。2009年1月からは、地上波で放送されていないもの(BS・CSの衛星放送独占放送)もある。
また、インターネットテレビ「バンダイチャンネル」とも連携しており、放送と同時期に無料で配信したり、放送の前後に有料での配信も実施している(前者については、主に衛星放送を受信できない視聴者に向けたサービスである)。なお、ANIME+は、バンダイチャンネルの登録商標である。
今さらだけど、所詮はオタクカルチャーもカネ次第でしか動かないんだよ(2010-01-26■[ジャーナリズム・地獄の季節]AKB48>>>>>>>>超えられない壁>>>>>>>>論壇・ゼロ年代論壇 id:HALTAN:20100126:p1)
バンダイナムコHDのリストラは日本映画と日本のオタクカルチャーに結構、大きな影響があるのではないかと思う。
ついでに、この辺でまだブチブチ言いたがる腐れきった「学者」「セミプロ文筆家」もこの機会にみんな居なくなってしまえばスッキリするのだが。
- 42 http://www.google.co.jp/search?sourceid=navclient&hl=ja&ie=UTF-8&rlz=1T4ADBS_jaJP326JP326&q=ヨージヤマモト+倒産
- 36 http://blog-search.yahoo.co.jp/search?fr=top_ga1_sa&ei=UTF-8&p=バンダイナムコ
- 28 http://members.jcom.home.ne.jp/sarasiru/
- 26 http://nyt.trycomp.net/
- 22 http://www.pressarmy.com
- 21 http://m.ld.tv/extlink/?.next=http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20091103/p1 &mb=1&.plane=
- 19 http://www.google.co.jp/search?hl=ja&source=hp&q=バンダイビジュアル リストラ&btnG=Google+検索&lr=&rlz=1W1GFRE_ja&aq=f&oq=
- 15 http://reader.livedoor.com/reader/
- 14 http://blogsearch.mobile.yahoo.co.jp/p/blogsearch/list/view?p=踊る大捜査線&fr=
- 14 http://search.mobile.yahoo.co.jp/onesearch?fr=m_top_y&p=バンダイナムコHD