菅直人首相は28日の参院代表質問で、政府が今国会提出に向けて検討を進めている交通基本法案の中に、人と環境に優しい自転車の活用を盛り込む意向を明らかにした。
自転車活用推進議員連盟事務局長の岩城光英参院議員(自民党)が欧米諸国や韓国が自転車を生かした交通政策を推進していることを提示。その上で「我が国も自転車計画を制定すべきだ。自転車活用促進基本法の制定など総合的な交通施策を進めることが重要」と首相の所見を尋ねた。
菅首相は「人と環境に優しい総合交通体系の構築は重要課題で自転車も重要な役割を担うと考えている」と答弁。「交通基本法案や法案で想定している交通基本計画で、自転車の活用の課題にも取り組んでいく」と応じた。
交通基本法案はすべての交通について基本理念や方向性を定め、交通基本計画で具体的施策を決める。政府は3月に国会提出の予定。民主党は昨年参院選のマニフェストで「人々の社会参加の機会確保、環境に優しい交通体系を目指す」と制定を公約していた。
自転車の保有台数は08年3月時点で6910万台に上る一方、自転車専用の通行区間は全国約2800キロで道路総延長の0・2%にとどまるうえ、対歩行者の事故はここ10年で3・7倍に激増するなど、自転車の走行環境の整備が課題となっている。【北村和巳、馬場直子】
毎日新聞 2011年1月29日 東京朝刊