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【社会】定員割れ でも増設 半官半民刑務所2011年1月30日 07時08分
半官半民の「PFI方式」で営む全国四カ所の刑務所で定員割れが続いている。収容対象となる初犯で軽い罪の受刑者の伸びが想定を下回ったためだが、うち一カ所では二十八億円かけて女子収容棟を増設する工事が始まった。過剰収容の緩和とともに経費削減も理念に掲げるPFI刑務所だが、法務省は増設の費用対効果を明示していない。識者からは未利用施設の効率的な活用を求める声が上がる。 (北川成史) 四刑務所は二〇〇七〜〇八年に開所。一般刑務所で過剰状態にある収容者数を緩和する受け皿として、開所後半年〜一年で定員の計六千人に達する想定だった。しかし、昨年末現在で収容率は72〜90%にとどまる。 女子収容棟が増設されるのは、国内初のPFI刑務所「美祢(みね)社会復帰促進センター」(山口県美祢市)。四刑務所のうち女子収容棟があるのは美祢だけだ。男女とも五百人の定員に対し、収容者数は男子三百二十人、女子四百人。そこに、国が建設費二十八億円を投じ、新たに定員三百人の女子収容棟を建設する。昨年十一月着工し、今年九月までに完成予定という。 支出はこれにとどまらない。法務省は運営の一部を警備会社などでつくる特定目的会社「社会復帰サポート美祢」に二五年までの契約で委託している。このため増設分の運営委託料として計百十七億円が追加されることになり、建設費と合わせた国の支出総額は百四十五億円に達する。 昨年末現在で一般刑務所も含めた男子収容者は全国で六万二百人で、定員を八千人下回っているが、女子は四千七百人で定員を八百人超えている。 こうした女子の過剰収容の解消を狙いとした今回の増設だが、既存の美祢が定員割れという現状について、法務省矯正局の担当者は「(初犯などに限定される)収容条件のハードルの高さと、程度の良い受刑者は仮釈放で早めに出るため」と説明。「増設分の定員もできるだけ満たしたい」と話すが埋まる見通しは示していない。 作田明・日本保健医療大教授(犯罪心理学)は「税金で造っている施設なので、コストパフォーマンスも重視すべきだ」と指摘。「犯罪の種類で収容する刑務所が分かれているが、空いている施設を活用できないか考えてもいい」と柔軟な運用を提案している。 (東京新聞) PR情報
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