高木マニア堂
何となく思いついたこと、目についたことをツラツラと…。
287:追悼・野沢那智さん
<2010年11月=東スポ携帯サイトより>
俳優、演出家、そして声優の野沢那智さんが10月30日、がんのため亡くなった。享年72。
アラン・ドロンや、米国産テレビ映画「0011ナポレオン・ソロ」のイリヤ・クリヤキン(デヴィッド・マッカラム)の吹き替え。深夜ラジオ番組「パック・イン・ミュージック」(TBS)での名物DJぶり(パートナーは〝怪物くん〟こと白石冬美)など、訃報では数々の代表作が取り上げられていた。
やや影のある二枚目や、女ったらしの二枚目半、さらに軽妙洒脱な三枚目。野沢さんの吹き替えは「これぞ野沢那智流」と断言ができないほど、芸風が多岐にわたっている。
私的には野沢さんの代表作として未来永劫、再放送などで視聴され続けるであろう米国産アニメ「チキチキマシン猛レース」(昭和45年=初回放送はNET系)のナレーションを挙げたい。
同作は主人公のブラック魔王が大塚周夫、「シッシシ」と何とも文字化しにくいシニカルな笑い声が特徴の相棒犬・ケンケンが神山卓三、その他にも広川太一郎(キザトト君)や小原乃梨子(ミルクちゃん)など芸達者な面々が多数出演していた。
番組は毎度、野沢さんの実況風ナレーションでスタートする。
「さて、チキチキマシン猛レース。本日のAレース(30分番組の前半パート)は○○を舞台とした△△レースだとよ。現在、トップは1番・岩石オープン、続いて7番・ギャング7と9番・キザトト君のハンサムV9が激しいデッドヒー
ト! ほかのマシンも続々と追いかけているよ。あれ…ブラック魔王のゼロゼロマシンは…何とビリ、哀れだね~」なんて名調子でレースの状況を説明。
その後は「何やってんの? ブラック魔王」「ブラック魔王がまた悪いことを企んでいるよ。懲りないね~」「ミルクちゃん今日もかわいいね~」などと出演者と会話したり、視聴者に出演者の悪事をバラしたりと縦横無尽だ。
それは他に類のないナレーション&実況ぶりだった。もしチキチキマシン~に、野沢さんのナレーションが存在しなかったとしたら、あの魅力も半減していたはずだ。
まだ家庭用ビデオが普及する前。この番組は、映像なしで音声のみをカセットテープに録音し、何度聴き返してみても、まるでハイテンポな落語を聴いているかのような独特の面白味があったものだ。
21世紀生まれのお子様たちがチキチキマシン~を見たとして、あの軽妙洒脱なナレーションの声の主が、アラン・ドロンや宗方仁(新・エースをねらえ!)、
百鬼丸(どろろ)、コブラ(スペースコブラ)、いじわるばあさん(1996年版)、さらにはC―3PO(スター・ウォーズ)の声までが、同一人物が演じているとは気がつくまい。合掌。
本日の見出し
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