国際【漢江経済リポート】売れるほど増える対日赤字 脱日本模索する韓国+(1/2ページ)(2011.1.27 21:30

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【漢江経済リポート】
売れるほど増える対日赤字 脱日本模索する韓国

2011.1.27 21:30 (1/2ページ)

 今年も韓国の財閥系ハイテク企業の元気がいい。薄型テレビ世界シェア1位のサムスン電子が年始早々、43兆ウォン(約3兆2000億円)あまりの投資計画を公表すれば、LG電子は2014年に「売り上げ200億ドル(約1兆6000億円)を達成して白物家電分野の世界一を目指す」と宣言。韓国政府はサムスンなどを「国家経済の強力エンジン」と評価する。そんな韓国経済にとっての一点の暗雲が対日貿易赤字だ。韓国は日本製部品への依存度が高いため、生産量が増えれば対日貿易赤字も増える構図で、日韓間の「見えない摩擦」の拡大も懸念されている。

 韓国貿易協会(KITA)によると、韓国の昨年の貿易収支全体の黒字額は、サムスンやLGなど輸出産業の好調を受け、417億ドルと過去最大を記録した。一方、韓国知識経済省は今月、昨年の韓国の対日貿易赤字が約348億ドルで史上最大だったと発表。貿易黒字が増加するなか、日本に対しては赤字が急上昇しているかたちだ。

 韓国の対日貿易赤字は、1994年に100億ドルを突破。アジア通貨危機でデフォルト(国家破綻)寸前に陥った98年に50億ドルを下回ったが、その後も上昇を続け2008年に327億ドルを記録した。リーマン・ショック直後の09年こそ277億ドルに減少したが、サムスンやLGの業績が回復基調に転じると、再び増加の勢いが増した。

 韓国の対日貿易赤字の増加は、諸外国への輸出の好調を反映している。韓国は「輸出品の製造に必要な中枢部品や素材、高度な産業機械を日本企業に依存している」(韓国財界関係者)ため、輸出品を作る際には日本からの輸入を増やさざるをえない。韓国の政府系経済研究機関幹部は「韓国が世界各国で製品を売れば売るほど、対日貿易赤字が増加する構図だ」と話す。

 昨年の韓国の「部品・素材製品」分野の貿易実績をみると、輸出は対前年比で34・1%増えて2293億ドル、輸入は26・4%増の1514億ドルで、貿易収支は779億ドルの黒字。一方で同分野での対日貿易赤字は、09年に比べ42億ドル増の243億ドルに上っており、グローバルブランドに育った「KOREA」製品が売れれば、韓国に部品・素材を供給する日本のハイテクメーカーも売り上げを伸ばすという構図を裏付けている。

 昨年韓国の単一企業で初の売り上げ150兆ウォンを突破した輸出企業の象徴的存在であるサムスンも、部品・素材分野での“脱・日本”には至っていない。韓国政府系研究機関幹部は「日本への一極依存は問題だが、先端素材や部品の品質で日本を上回れないのだから現状を追認するしかない」とあきらめ顔だ。

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